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2009/10/11 (Sun) No.15 月明かりのリリィ②

中々更新できなくてごめんなさいです。
中間&模試&英検。頑張りますっ。

ということで、「リリィ」の続きです。少なめで完結していませんが、是非。



-断片集-
No.15 月明かりのリリィ②

膝の上に犬を乗せて、優しく撫でる。
それにしても、随分と人懐こいやつだ。
食事を終えた後、リリィは自室へと戻るようで、ユリアが導くように手をとって行ってしまった。

リリィはもう少ししたら寝ると言っていたが、眩しく光る、一際大きなシャンデリアの所為で、全く夜の気配がしない。
先程食事したばかりだというのに、眠りにつくというのは奇妙だったが、おれが起きるのにあわせてくれていたのかもしれない。

小柄な犬の身体を持ち上げて、前足をつまんでバンザイのような格好をさせる。
丸い瞳をじぃっと見ていると、その中に吸い込まれそうだった。

「そういえば、お前の名前はなんなのだ、犬。」

「名前はない。」

いまだに慣れない細い声が、くすぐるように響く。
ユリアが戻ってきていた。

「何故だ?名が無いというのはあまり良いことではないだろう。」

「三日前リリィが拾った。ユリアとリリィで考えている最中。」

「そうなのか。良い名を貰えるといいな。」

ユリアへと向けていた顔を犬へと戻し、言った。

それにしても、犬を拾ったすぐ後におれが拾われているのか。
そもそも自分が何故倒れて、介抱されたのか、経緯が分からない。
自分の今までの記憶もぼんやりとしたままなのだが、何故か不安のようなものは感じない。
もしかしたら何度か経験しているのかもしれないな。


「月明かり、か?」

急に訊いてしまった。
ほとんど無意識のうちに。
これに関する知識だけは、何故か綺麗に思い出される。

「ああ。だが、もうそろそろ終わる。」

「早くとれるといいな。包帯。
 常に暗闇をみつめるというのは、悲しいことだ。」

「・・・。そうだな。」

月明かり。
それは、異形にとっての至福の光。人にとっての災いの光。

雲一つかからない、完全に丸を表した月を目にしてしまうと、魔に魅入られるという。
人がその目に月明かりを浴びせれば、本人がだんだんと異形へと導かれるのに加え、異形のものを引き寄せてしまう。

『異形』。
その存在が広く知られた後、何百年もの争いを背景に、そのほとんどが滅していったとされている。
夜を人が作り出した光で満たせるようになってからは、既に畏怖の対象にはなりえなかった。
しかし、この近辺のような、昔からの伝承をひたすらに受け継いでいるような地域は、異形にとってはむしろ住みやすい。
昼は人の支配。夜は異形の支配。
そう取り決めて、町人は屋内へと篭り続けて太陽を待つ。その間、異形は自由なのだ。

リリィは、その目に月明かりを浴びた。

そろそろ終わるということは、既に一年近く目を塞いだままということか。

魔の誘惑による影響は大きく、再び目を開いたときに、光を感じ取れるかどうかは分からないという。


「お前は、どうする。」

ユリアが同じように唐突に言った。

「もう随分とお世話になってしまったし、明日には出て行くことにするよ。」

「・・・そうか。」

少し難しそうに表情を歪ませた後、ユリアはぱんっと手を叩いた。

再び膝でくつろいでいた犬は、それを聴くとだっと飛び出して、ユリアの足元に向かった。

「部屋は、さっきと同じ場所だ。早く、寝ろ。」

「ああ、そうするよ。ありがとう。」

会話を終えると、ユリアはすぐに出て行ってしまった。
ふかふかで気持ちのよかった犬もついていってしまって、少し寂しくなる。

疲れているようだし、もう寝てしまおう。

そう思って、自室を目指した。






月明かりより生れ落ちる、黒き異形。
誕生を迎えた瞬間、自身が空っぽなことに気付く。
押し寄せる空腹も相まって、狂ったように全てを食らう。
そうして、異形は満たされることを知った。
食らい、自らの血肉とすることによって、空っぽだった自身が初めて存在を得たように感じた。

あの夜、生まれたての異形が、ある女を襲った。
手には花束。
後ろで束ねた銀の髪は、暗い中でも映えていた。
月明かりを浴びて。

視界がぐんと動く。
女の背中がどんどん近付く。
もうすぐ。もうすぐその喉を噛み切って、この身を満たすことが出来る。

「リリィ・・・。」

涙を流しながら、最期につぶやいた名前。
とても、愛おしいものだった。




がばっと身を起こす。
汗がひどい。
前髪が額にぴったりとついて、気味が悪い。

嫌な、夢を見たな。

そんなことを思いながら、おれは水を飲もうと廊下へ出た。
一人で出歩くことに不安はあったが、いまは喉が渇いて仕方が無い。

あてもなく彷徨い、三、四回角を曲がると、なにやら音が聞こえる気がした。
何かが暴れているような、ばたばたといった音が、足元から響いてくる。

誰か、いるのだろうか。



どのように歩いたのか覚えていない。
ただ、導かれるように音のする方へと進んだ結果、いつの間にか地下に来ていた。

地下独特のどんよりとした闇がまとわりつく。
見渡すと、音のする先から灯りが淡く洩れ出ている。
おれは、ゆっくりとその灯りへと向かう。
音は既にはっきり聞こえるほどで、唸るような、不気味な声もする。
それは確かに男の声で、何かで口をふさがれているようだった。

これ以上は進んではいけない。

やっとそういった考えが圧し掛かってきて、おれは足を止めた。


瞬間、前方から気配を感じて、肌の表面がざわついた。
喉の渇きは気にならない。ただ、迫りくるなにかに備えなければ。

全神経を前方へと集中させ、待つ。
すると、とてとてと、あの犬が駆けてくるではないか。

ふうっと息をつき、しゃがみこむ。
近くまで寄ってきた犬を両手で包みながら持ち上げる。

「はあ。驚かすんじゃあないよ。犬。」

まだ少し引きつった笑いを浮かべながら、犬の顔を覗いた。


ぞくり。


また肌がざわめいた。

薄暗い中でも、はっきりと分かる紅。
犬の口元に、血がべっとりと付いていた。

思わず投げ飛ばしそうになったが、なんとか堪えて、そっとその小さな身体を降ろしてやる。

ごくりと唾を飲み込み、前を見る。
音は途切れない。まだ誰か暴れているのか。

動悸が激しい。
この先で血が流れているのだ。
何か、恐ろしいものが、待っているのだ。

止めよう。部屋に戻るんだキアラ。

自分で、そんな風に言い聞かせる。
本能が告げているのだ。この先は見てはいけない。


キアラ?キアラとは、誰の名であったか―――。


おれはだっと駆け出した。
音のする方へ。

音が近付く。
すぐ先だ。
この角を曲がれば、すぐそこに。



「早く寝ろと、言っただろう。」

そこにはユリアが居た。
おいしそうにワインを飲んでいる。
それにしても濃い。まるで血みたいだ。

そこで、先程の犬の顔を思い出す。
考えがそこまでまわると、ユリアの傍にあるそれもやっと認識する。

うっと胸に何かがこみ上げてくる。
本来とは逆の流れをするものだから、ひどく苦しい。

おれは目一杯、腹に詰めたものを吐いてしまった。

ユリアの傍らには、どう見ても人間とは違う生物が、拘束されていた。
鎖で繋がれた腕には少し余裕があり、それを力の限り振り回している。

これが音の正体か。

大きく開ければ、大人でも軽く飲み込めそうな口は、専用の器具で縛られている。
時折洩れ出る呻き声は、なんとも不気味だった。


ユリアは爪をすうっと伸ばした。
爪というのは、日常の中で徐々に伸びていくものだったはずだけれど、ユリアは今、それを二倍以上の長さに『伸ばした』のだ。

拘束されたそれの腹を撫で回した後、ゆっくりと爪をたてる。
呻き声が一瞬大きくなったかと思うと、その腹から真紅が流れ始める。
新鮮なその紅を、ワインへと継ぎ足すように注ぐ。

ああ、あれはワインじゃあないんだ。血なんだ。


「一杯、いかが?」


うむ。ファンタジーは設定を伝えるのが難しいです。
後々書き直す予定の作品なので、なにかご意見があったら是非コメントにて!

あと、断片集のナンバリングですが、「あなたと」のときは同じ番号でしたが、今回は①と②でそれぞれ「14」「15」となってます。
一覧見たときに同じ番号並ぶのが少し違和感あったので。
かなりどうでもいいことでした。笑

この作品を完結できたらしばらくは勉強に集中したいです。
日記は時々書きます。
受験終わったら目一杯創作したい!

眠くて文章おかしいかもしれません。汗
それではー
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comment











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うおおおもう全然先が想像できません(貧弱
恐いですが妖しい感じがまた...!
黒目さんの効果はいつも印象的にはたらくので羨ましいですww
はやく受験勉強に集中できるといいですね(続き読みたい的な意味で

2009/10/12 13:43 | コウ [ 編集 ]


 

”『異形』の館”・・・でしょうか・・・?
現時点では推測しかできませんが・・・
違ってたら申し訳ないですm(_ _;)m

前回に引き続き、主人公の感覚や記憶が曖昧なところが不気味で面白いです!
地下で、抱き上げた犬の口に血が・・・という部分が読んでいてゾワッときましたb

うーん、リリィさんは一体どうなるんでしょうか。


受験頑張ってください(^ ^)b

2009/10/13 19:03 | ツーヨン [ 編集 ]


 

>コウさん
感想ありがとです!
自分でも全体的に把握しきってないような状態で書いちゃってます。笑

>黒目さんの効果はいつも印象的にはたらくので羨ましいですww
お褒めのお言葉、ありがとうございます!!
時々表現が浮かばず悶え苦しみますが

受験は本当にもう時間ないので、そろそろ自分に厳しくならなければ・・・
お互い頑張っていきましょーb

2009/10/15 18:27 | 黒目 [ 編集 ]


 

>ツーヨンさん
感想ありがとです!
とりあえずユリアさんはアレな感じになってますね。笑
拘束されている『異形』は一体だけの設定です。
次回でほとんど終わる予定なので、少々お待ちをっ。

犬に関しては、ついさっきまで『癒し』だったものが恐怖の引き金っていうのはちょっとホラー映画チックで面白いかなと思いまして。
もう少し上手くか描ければよかったんですけど・・・
もっとぞくっっとした感じにしたいです。笑

勉強頑張りますっ!!

2009/10/15 18:35 | 黒目 [ 編集 ]


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