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2009/09/18 (Fri) No.13 お天気メーカー

こんなもん載せるなっていう作品ですが、「断片集」はそもそも黒目のネタ帳の予定だったんで勝手に変なものを載せたいと思います。
正直初めてここを訪問した人はこれは読まないで欲しい。
いくなら「ラルス・カヌス」か「連載小説」へ。笑




-断片集-
No.13 お天気メーカー

むぅ。
ネクタイというのは、いつになっても慣れない。
これでも二十年近く結び続けているというのに、時々後ろが長くなってしまう。
そんな自分の姿を鏡で目の当たりにすると、ひどく情けなく感じる。
近所の奥さんから、もうすぐ夏が来るからクールビズになりますねと言われた。
最初はどういうことかよく分からなかったが、それだとネクタイをしなくてもよいらしい。
なんて羨ましい。それだけで朝に十分間の余裕ができるじゃないか。

今度自分の所でも導入してみようか。

そんなことを考えながら、職場へ急ぐ。
満員の電車を経て、大きなビルへと至る。
真っ直ぐにエレベータへと向かう。
私が最上階を示すボタンを押すのを、乗り合わせた四人がちらちらと見る。

あまりそんな視線を投げかけないでくれ。
怪しい者ではない。私の職場はこちらにあるのだ。

四階で一人が降りて、六階で三人が降りた。
最後に降りていった長身の男は、なにやら目を細めながらこちらを振り返ったが、何も言わずに脇へと消えていった。

扉が閉まって、上昇を再開した。
くいっとネクタイを締め直す。
きちんと締めれているのかが不安で、すっかり癖になってしまっている。

があっと扉が開いた。
私はかつかつと愛用の革靴を鳴かせながら、廊下を黙々と進む。
誰も入ってくることのない、薄暗い通路。
しばらく歩くと、ひっそりと備え付けられた短い階段がある。
それを登った先にある、クリーム色の重い扉。
少し身を屈めて、肩を押し付けながらゆっくりと開いた。

視界が一気に広がる。
屋上だ。


ビルの地味な灰色と、すぐ上に広がる鮮やかな青が並んで映る。
下界と天界の境界線。
こんなに高いところから手を目一杯伸ばしても、下界からは届かない、天界。

顔を上へ向けて、灰色を視界から除く。
綺麗に浮かぶ真っ白な雲。邪魔されることなく元気に輝く太陽。

うん。いい感じだ。

顔を元に戻して、屋上の中心へと向かう。
本当は何もない平らな空間なのだろうが、私にとってはここが『入り口』だ。

何もないはずの空中へと、足をかける。
かつっと、音が響いた。
躊躇なく私はもう片方の足を上げる。
他の人から見れば(実際は視認することはできないのだけれど)宙に浮いている格好だ。

かつ。かつ。かつ。かつ。

私は空の中へと続く見えない階段を登る。
下へと目をやると、慌しい朝の都市が見えた。
とても愛おしく感じる。
少しばかりの優越感を伴っているのは失礼かもしれないけれど。

雲を突き抜け、灰色の世界から抜け出したところに、先程と同じクリーム色の扉。
全く同じ動作でそれを押し開け、中に入る。

「あ、室長。おはようございます。」

扉の隙間から、がやがやっとした喧噪が漏れてきたと思ったら、開けたすぐ前にいた女性が声をかけてきた。

「おはよう。もしかして、今から休みかい。」

「はい。昨日手違いで荒らしてしまったものですから、処理が大変で。」

「ははは。確かに結構な騒ぎになってしまっていたな。
 けれど、夜の方だからそう気にすることはないよ。
 天体観測を楽しみにしていた人たちには謝らなければいけないが。」

軽い流れで、笑いながら話す。

「室長のそういうところ好きですよ。
 気負いしなくてもいいと勘違いする新人には困ったものですけれど。」

そう返してきたので、一緒にはははと笑う。
談笑するほどの時間は無いので、おつかれと一言かけてやって、奥へと進む。
女性はこちら側に住んでいるので、扉の脇にあった階段でさらに上へと向かっていった。

おはようございます。室長。 
おはよう。

たくさんの人から声をかけられ、少々のコミュニケーションの後に奥へとまた進む。
机が並べられて、それらに腰掛けながら働く姿は、あちらとなんら変わりは無い。
ただ仕事の内容が若干、いや、かなり特殊なのだ。

がやがやとした喧噪が大きくなる。
私の仕事場。制作本部だ。

がしゃんという、何かを倒した音がして、短い悲鳴が響く。

「おい、なにやってるんだ。
 あぁ、青をこんなにぶちまけてしまって。室長に怒られるぞ。」

だんだんと出来つつある人垣を抜けて、音の元を覗く。
男性が派手に転んでいて、青の塗料が紙の上に撒かれている。
もう一人の、顎鬚をたくわえた男性が、転んでいる男性に向かってどなっているという構図。

「何かあったのか。」

そう言って身を乗り出すと、転んでいた男性が身体をがばっと起こして、目の前まで来て頭を下げた。

「す、すいません。青をこぼしてしまって。
 東京近辺が全部染まってしまいまして。」

視線をうろうろさせながら話す男性。
小刻みに何回もこちらへと頭を下げている。

ぺこぺこ。ぺこぺこ。ぺこり。

おいおい。そんなに慌てたらまたミスをしてしまう。
 
落ち着かせようと、ぽんと肩へと手を置いて、言う。

「構わない、仕事を続けて。
 天崎が最近サボり気味だからな。ちょうどいい機会だ。」

笑いながらそう言ってやると、男性はさらに深く頭を下げた。
一方で、顎鬚の男性は少し不愉快そうにふんと鳴らした。

「天崎、お前は腕は確かなんだから、もう少し協力的にしてやれ。
 面倒だからと最近は灰しか流してなかっただろう。あと三十分ある。青で仕上げなさい。」

顎鬚を手で撫でながら、嫌々ながらもへーいと返事をする天崎。
その様子を見てにこりと笑みをかけてやって、自分の席へ向かう。


どかっと座ると、すぐに横からコーヒーが差し出される。

「朝にコーヒーはお約束ですよね。」

そういいながらカップをこちらに押し付ける女性。

現れた。私の宿敵。

毎朝同じ台詞で差し出してくるのだが、この女性、私がコーヒー嫌いなことを知っているはず。
当然故意にやっている。こんなふうにいつもからかってくるのだ。
けれど、仕事の面では随分と世話になったことも多く、蔑ろにするのは気が引かれる。

「ありがとう。いただくよ。」

そう言って受けとって、ずずっと啜る。
苦い。苦すぎる。
子供の頃はコーヒーもビールも苦くて飲めたものではなかったのに。
なんでコーヒーだけは変化が感じられないのだ。

それでも、朝からコーヒー片手に仕事する姿が渋くてカッコイイなどという評判を、最近偶然にも耳にしてしまったものだから、止めるに止められない。

随分と器の小さい人間。それは自分で理解している。


コーヒーの残量が半分をきったころ、大量の書類が机の上に置かれた。

「・・・昼までに。全部。」

低く短く言って、去っていこうとする男性の目の下は黒ずんでいた。

ふらり。ふらり。

縦にも横にも大きな男性の身体が、今にも倒れそうなほどに傾いている。

「おい、星野。疲れているんじゃないか。
 これ持っていけ。」

言うと同時に栄養ドリンクを投げ渡してやる。
両手で大事に受け取る星野。

「・・・ありがとうございます。室長。」

お礼の最後には大きな欠伸を見せ付けて、星野は去っていった。

あいつは、昨日の星担当だったか。
キツイ仕事の上に、台無しになってしまったら、あんなふうにもなるか。

少し同情して、自分の仕事へと移る。

膨大な書類と格闘。
最初の仕事経過報告で、いきなりつまづいた。

雨が多すぎた。
六月の終わりから天崎が事故とか言って長期離脱して、青を上手く流せる人物がいなかった。
灰は比較的簡単に流せるものだから、どうしても頻度が偏ってしまっている。
流しの方の人材を少し考えてみなければならない。

それから三時間ほど処理を続け、やっと昼休みに入れるかというときに、最大の困難が待ち受けていた。

一枚の書類を手にしたまま、ぷるぷると震える私の横には、先程のコーヒーの女性。

「あら、雷の要請。
 そういえば全然落としていないですよね。」

わざと大きな声で言う。
くすくすとあちこちで笑いが起こる。

ある新人の女性は、なにが可笑しいのか分からない様子で、隣の先輩である女性に聞いた。

「ああ、室長は、奥さんと子供をあちらに置いてきてるのよ。」

「それがなにか関係あるんですか。」

新人が先を促す。

「室長のお子さん、五歳ですごく可愛いんだけど――あ、女の子ね。」

そこまで言うと、新人は理解したのかくすっと笑った。

恥ずかしい。やめてくれ。

もう必要ないと思っているようだが、先輩の女性は最後まで続ける。

「雷がすっごい苦手で、近くで落ちるとわんわん泣いちゃうのよ。
 奥さんもあまり平気でないみたいで、それが嫌で室長はあんまり雷落としたがらないのよ。」

そこまで言うと、くすくすとした笑いが、はははといったものに変わった。

「室長、可愛いですね。」

横のコーヒーの女性がぼそっと言う。

「流石に今年度いまだにゼロというのは問題になってしまったか。
 要請が直々にくるとは予想外だったな。」

平生を装いながら、誰に聞かせるわけでもなく言った。

「それでは早速決めましょう。」

非情にもこれ以上は滞納できないようだ。
観念して、机の中からさいころを取り出す。
私の方法は昔から決まっていた。

「さいころは駄目です、室長。」

急にそんなことを言われて、びくっとする。

「な、なんでだい。今までこれでやっていたじゃないか。」

「細工をしているでしょう。落とすところを操作していては、本当に問題になってしまいますよ。」

痛いところをつかれて、反論できない。
家族の住む地域には極力落ちないよう、影で行ってきた努力はばれていたのか。

「これからはこちらで。」

そう言って、地図が描かれた丸いボードをどこからか持ってきた。

どこかで見たことがあるような気がした。

「これを私にどうしろと。」

地図を眺めたまま立ち尽くしていると、コーヒーの女性がなにかを私に握らせた。
ダーツの矢。
そこで私はこれらを何処で見たのか思い出す。

「そのダーツの矢をこの地図目がけて投げてもらって、当たったところに――」

「あぁ、最後まで言わなくてもわかってるよ。だけど、どこでこんなことを知ったんだ。
 あちらに行く者なんて私くらいだろうに。」

コーヒーの女性は私のかばんの中をがさがさと探し、何かを取り出した。
ビデオテープ。そうか、夜勤用に録画したものを持ち込んでいたんだっけ。

「あちらのものなどコーヒー以外は俗物だと言って毛嫌いしていた君が、まさかこっそり鑑賞するとは。」

「正直中々面白かったです。テレビ関連なら仲良くお喋りができるかと。」

にやりと笑みをうかべた彼女が、地図の的を私から少し離れたところへセットする。
しかし、この方法では、細工したさいころよりも一定の地域を回避するのが容易だ。
私は、列島の左上、海の中へと狙いを定める。

ここなら手元が狂っても、余程のことがない限り陸地には落ちない。

なんだか勝ち誇った気分になって、矢を投げる体勢を作る。
そこで急に、コーヒーの女性が的に手をかける。
不思議に思った瞬間、的が回り始めた。

あまりに予想外な動きに、パニックに陥る。
狙いを定めた部分がぐるぐると回り、目が回って気分が悪くなる。

おまけに周りはなにやら掛け声まで始めた。
これは。これは。

彼女はこちらを見て、ふっと笑った。

「的を回すのは、違う番組じゃないか!」

訳のわからない叫びと共に、私は矢を放った。
独特の放物線を描いた先で、雷が落ちる。

それは場所が決定してからしばらく後に行われるのだが、私の娘がその日大泣きしたのは、私の所為ではない。断じて。



な、なんなんだこれはぁ!怒
という感じでしょうか。ごめんなさい。笑

明らかに前半と後半のテンションが違う。
というか書こうとしていたのと全然違う。
元々は主人公がいろいろと手を回して、下界の子供を喜ばせてあげるようなありがちなほのぼの物語りにしようと思ったのに。
某番組の日本地図ダーツと、某番組の景品当て(車あり)ダーツがごちゃ混ぜになったところを何故か妄想して気がついたらこんなふうに・・・

最後の台詞でほんの少しでも笑ってもらえなかったらこの作品の価値はなんなのだろう。笑
久しぶりに壊れて書きました。
やっと載せた小説がこんなんで本当にごめんなさいですっ笑
でも書きなれないコメディ?に挑戦して自分は楽しかったです。満足。

FILE3の執筆に戻りますー 掲載はいつになるか分かりませんが。
でわでわ。
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断片集 | trackback(0) | comment(4) |


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comment











管理人のみ閲覧OK


 

>書きなれないコメディ?に挑戦して

すごいです!!凄く面白いです!!!
書きなれないという感じではないと感じましたb

全体を通して、天気の管理が空の会社に任されているような設定なのが斬新だと思いますb

>元々は主人公がいろいろと手を回して、下界の子供を喜ばせてあげるようなありがちなほのぼの物語りにしようと思ったのに。

今のお話の流れでも、とても自然で微笑ましいお話に仕上がっているのですが、そっちの方も気になります。


所さんのダーツの●と、景品ダーツは読んでいてもしや・・・と思ったら「やっぱりb」だったのであとからじわじわ笑いがこみあげてきました。

もちろん最後の台詞でも思わずニッコリでしたよー!!

2009/09/18 22:08 | ツーヨン [ 編集 ]


 

>ツーヨンさん
感想ありがとうございます!!
いつも載せているものとはかなり違う雰囲気なので、載せるのを悩みましたが、楽しんでいただけたのなら嬉しいです!
いろんなジャンルに挑戦していって、もっと一つのものに要素を詰め込めれるようになりたいです。

ネタにしてしまって、所さんやフレンドなパークさんには申し訳ないです。笑
じわじわ笑えるってのは嬉しいです。
逆に、自分でもじわじわとしか笑えない。笑

断片集にはもっと未完成なものでもどんどん載せていくと思われます。

2009/09/19 19:27 | 黒目 [ 編集 ]


 

いやいやこのお話すごく好きです!よ!!
なれないコメディだなんて謙遜しないでくださいよシリアスしか書けないコウは本当もうどこへいって筆を折ったらいいのやら...orz
今回の作品は黒目さんが書かれる作品の中でも特に好きなものの三本指に入ったです(エンドレス2828
あっあとこれも今回気づいたのですが黒目さんの文章は軽快なタッチもよく似合うみたいですいいなぁいいなぁ
特にすごいなぁと思ったのが「うん。いい感じだ。」「かつ。かつ。かつ。かつ。」「ぺこぺこ。ぺこぺこ。ぺこり。」とかまだあるんですがここらへんの間の取り方ですすっごい自然で楽しい感じがでててもう本当羨ましいですーwコウがやるとすっごい不自然になるんで す よ...orz
すっごい好きです!!なんかまとまらなくてすみませんw

2009/09/24 23:38 | コウ [ 編集 ]


 

>コウさん
感想ありがとうございます!!

>今回の作品は黒目さんが書かれる作品の中でも特に好きなものの三本指に入ったです(エンドレス2828

マジですカー!!
本気で載せるか迷っていたのですが、気に入ってもらえて嬉しいですっ。

かつかつとか、ぺこぺことかは特に意識していなかったのですが、意外とイイ感じ?なのでしょうか。
いろんな発見があるので、まだ書いたことないジャンルにどんどん挑戦していきたいと思います!

コウさんの方こそ謙遜なさらずにっ
コウさんの書く文すごく好きですよ!
今回自分は壊れ気味で書いたので、コウさんも一度はっちゃけてみたらどうでしょうか。笑
コメディ方面で。笑
素敵な作品が生まれます。絶対っ!

2009/09/25 22:41 | 黒目 [ 編集 ]


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