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2010/02/28 (Sun) 【FILE3】 園田愛理の場合①

【FILE1】甲村陽一の場合  
【FILE2】佐久間都の場合 



【FILE3】 園田愛理の場合 ~ふぁいるさん そのだえりのばあい~

園田愛理は想像していた。
自分が大学へと入学し、憧れのあの人と共に過ごしていることを。
手を握り合って笑顔をかわし、近くでは兄も同じように大好きな人と一緒に笑っている。
そんな理想の新生活が、彼女を待っているはずであった。

園田愛理は、兄の慶太とは歳が一つ下の妹で、兄と同じ大学を志望していた。
学力というもので測るのであれば、全国の中でもかなり優秀といえるその大学に、愛理の兄、慶太は見事合格してみせた。
ずっと昔から兄と共に目指していた大学だけあって、兄の合格を聞いた際には自分のことのように喜んだし、自分も努力次第で合格できるのだという自信が生まれた。
それを大きなエネルギーとして変換させ日々勉学に励んでいた彼女を、さらに後押しする事件が起こる。

離れ離れになってから、ぽつぽつと始めた兄とのメールのやりとりの中で、『恋愛をしている』という旨のものが突然送られてきた。
それを読んだ愛理はとても驚いた。
高校生の間も、幼い頃から変わることなく一緒にいた二人であったので、愛理は兄が恋愛に関して疎いことはよく知っていた。
元々、園田家の教育がかなり厳しい部類のもので――慶太が長男というのもあったかもしれないが――兄は様々なことを教え込まれていた。
武術から礼儀作法まで、毎日をひどく忙しそうに過ごしていたものだから、寄せられていた多数の好意には全く目がいかなかったようだ。
なりふり構わず駆け抜けた末の大学合格なのかもしれないが、兄にとって高校生活は随分と味気ないものだったように思われる。

初めて人を好きなのだと実感している。俺はどうすればいいのか。

そんな文面を、恐らくだが一番最初に、実の妹へと送りつける大学生というのは中々いないだろう。
しかし、二人の仲はそんなことも全く可笑しいことではないくらいに深いものであった。

愛理は、とにかく兄がどんな人に惚れてしまったのか知りたくて、写真をメールに添付するよう要求する。
それから十五分程がたって、恥ずかしさからだんまりを決め込んだのだと諦めようとしたとき、愛理の携帯電話が光った。

まるで野獣が獲物にとびかかるような勢いで携帯電話を手に取り、メールを開く。
少し前に、仲良くなった人と一緒に大学の近辺を知ろうと散策して回ったことを聞いていたから、多分そのときの写真だろう。
名所である、大きな電気の塔を背景に三人がこちらへと笑顔を振りまいている。
右で兄が笑っていて、真ん中に綺麗な女の人。左にはもう一人の男の人。

へぇ。こういう人が好みなんだ。すごく綺麗な人。

この時期は知り合ってそれほど間もないだろうに、無理に着飾ることなく、明るい顔で笑うその女性を見て、兄が惚れたことに愛理は少し納得した。
一通りの感想を思い浮かべていた彼女だが、注目すべきであった兄の想い人よりも、気になる存在があった。

女性を挟んで兄の反対側にいる、男の人。
特に運命なんて信じる性格ではなかったけれど、その笑顔からはなにか穏やかなものを感じて、愛理はどうしても彼が気になってしまっていた。
容姿も優れていて、きっと人気が高いのだろうけど、それ以外にも惹かれるものを、彼女はなんとなく感じていた。

ただ写真を見ただけなのに、なんでだろう。

勉強ばかりしている脳が、なにかしらのストレスから生じさせた感情なのではというなんのロマンもない考えもしてみたけれど、どう説明していいか分からない想いが確かに彼女の中で生まれていた。
すぐにでも彼について細かく聞きたかったけれど、今は兄の相談を受ける立場だということを思い出して止まった。

相談を受けるというより、とにかく兄の恥じらいながらの告白を聞いてあげるという形で、メールは二人の間を何回も飛び回る。
その中で、女の人の名前は笹原理沙、そして男の人の名前は甲村陽一であることが分かった。

甲村陽一。甲村陽一。
愛理はなんとなく声にだしながら、空中に浮かべた漢字を指でなぞる。不思議な響き。

兄は二人とすっかり仲良くなっているようで、信頼しきっていた。
ここで、妹である愛理はむぅと少し唸る。

あの兄の性格だから、あまりにも三人でいることを当たり前にしてしまうと、恋愛よりも友情を優先してしまいそうだ。

この先、苦労することがなければいいけれど。

そんなことを思いながら、メールを送る。
その日のうちはただただ兄の恥ずかしくなるくらいの告白文を見届け、『甲村陽一』への詮索は後日とすることにして、愛理はひとまず満足した。



それからの毎日、愛理は非情に充実した生活を過ごした。
頭の中では、暇があっては甲村の笑顔がぽこぽこと生まれてくるのだが、勉強が疎かになるわけではなく、むしろ良い方向へと進んでいた。

他愛も無い兄とのメールのやりとりの中で、時折甲村の話を聞いて、愛理はその好意を膨らませていった。

兄の方は相変わらずで、何の行動も出来ない自分と、初めての感情に板ばさみ状態であった。

なんとも情けない。

兄の性格を熟知している愛理は、それを実際に口に出して伝えたりもしたが、これといって変化は見られなかった。
愛理は、甲村と笹原とが好き合ってしまうのではないかという、勝手な不安を抱えることもあった。

二人が並んでいるところを想像すると、不思議なくらいに似合って見えたから。

ぶんぶんと頭を振って、そんな想像を振りとばす。
写真を見ただけで、笹原に対してほのかな憧れさえ感じてしまっていた愛理だから、そのような状況は絶対にあってはいけないと思った。



高校生活最後の夏休みも終わり、学生にとっていよいよ受験が具体的なものになってきた頃。
非常に良い成績を残している現状に甘んじることなく、愛理は勉学に励んでいた。

兄とはメールだけでなく、電話をすることも多くなっていた。
しかし内容は以前より少し変わっていて、笹原理沙よりも甲村陽一の名が頻繁に挙がった。

愛理は甲村に寄せている好意を明確に伝えることこそしなかったが、隠そうという気もなかった。
それでも慶太は全くその辺りを感じない。愛理は今度はそんな兄に悶々としていた。

会話の中から、未だに大学生三人の関係はそのままであるようだが、安心はできない。
兄は相変わらず奥手なままであるし、そんな兄を通してでは甲村と笹原の感情など分かるはずもなかった。


「お兄ちゃんは、本当に笹原さんのことが好きなの!?」

もう何回と電話越しに怒鳴ったか分からない台詞。
最近の兄は笹原に向ける好意が弱まっているように思えた。

心配していたことが現実になっているのかもしれない。
もし自分が告白でもしようものなら、三人の仲良し関係が崩れると考えているのだ。
恋愛より、友情。
兄らしいといえばそうなのだが、それでは愛理は納得できない。

兄に幸せになって欲しいというのも勿論だが、頭の中の甲村と笹原の並ぶ姿が、ぴたり型にはまったかのように似合ってしょうがなかった。

一人で勝手な妄想をして、勝手に焦っている。

そんなことは愛理自身分かっていた。
甲村と笹原には、「妹がいる」ということを兄から知らせてもらってはいるけれど、当然恋愛という土俵に立っている訳ではない。

「それじゃあ、甲村さんに今好きな人がいるか、聞いてみてよ!」

兄が細い声でぶつぶつ言っているのを聞き流しながら、頭の中でそんなことを考えていたところ、咄嗟に口に出してしまっていた。
会話の繋がりから、「それじゃあ」という接続は明らかに間違っていて、無言ながらも兄の漏らすクエスチョンマークが目に見えるよう。

「だ、だって。いつも相談に乗ってもらっているんでしょう?
 甲村さんだってそういう悩みがあるかもしれないんだから、友達なら聞いてあげるべきだよ」

「いやあ。甲村は俺と違ってそういう面もしっかりしているから、特に役に立てるとは思えないけれど」

「恋愛音痴のお兄ちゃんに期待なんかしてないって。とにかく、友達として聞いてあげるだけでいいの!」

あまりにも突然に口走ってしまったので、なんとか理由をつけようと必死になる。
あれこれと言いつけた後には、もう開き直ってしまっていて、とにかく何が何でも聞き出してと念押ししていた。


次の日、愛理はそわそわとしながら兄からの報告を待った。

あの兄であるから、そもそも聞くことができないのではないかという考えがあったが、それでも愛理は落ち着かなかった。
流石に手に付かない数式を意味もなく見つめていると、携帯電話が鳴った。慶太からだ。


「どうだった!?」

通話が始まった途端、そう大声で聞く。

「それがだな。甲村には今気になる女性はいないらしいんだ。
 地方から出てから碌な女性と会っていないとも冗談っぽく言っていたよ」

笹原に失礼だよなと、笑いながら言う。
愛理は、心底ほっとした気分だった。

自分と甲村との距離が縮まったような錯覚を覚えるほどに、愛理は安堵したのだった。
それからの雑談はほとんど記憶に留まることもなく流れていった。
最後の方で、少し甲村が変な様子だったということを聞かされたが、その時の愛理の耳には届いていなかった。


久しぶりの更新。やっと掲載できましたFILE3。
あまりの不調っぷりで量少ないです・・・。
FILE1を書き始めたのが去年の夏の終わり。
かなりの時間が経っていますが、なんとか終わりまで綴っていきたいと思いますので、よろしければお付き合いください。

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連載小説 | trackback(0) | comment(6) |


2010/02/25 (Thu) くっきー

ついったでもつぶやきましたが、今日卒業式練習から帰ってから、クッキーを作成しておりました。
3月のいつから下宿するかちょっと分からないし、明日卒業式で会わない人はホントもう会わなくなりそうなので、ちと早いホワイトデイってやつですな。

以下、くっきーさんたち。

くっきー1

机の上汚いとかはどうでもいいです。
左がチョコ、右がアーモンド。
クッキーの形グロくね?とか思わないでください!
我が家のくっきーは型を使わないのが特徴なのです。
いやでもほんと自然と広がったこの薄さがいいのですよ!
味はそれなりの自信がありまする。去年も作りましたが中々の評判でしたので。

くっきー2

冷まし終えたので、今度は何か新しい感じのものをと、紅茶ぶちこんで上にフレーク(甘くない)を乗っけてみました(左) チョコとアーモンドは右の皿で仲良くなってますw

くっきー3

包装。えぐい形でも袋にきれいに入れるとそれなりに美味そうに見える・・・よね。

あまりものを食ってみた感想。

アーモンド→安定したおいしさ。もう少しアーモンド細かくしてもよかったかも。

チョコ→普通に冷蔵庫にあったmeijiのチョコぶち込みましたが甘すぎた・・・生地自体甘いからちょい重い。だけど甘党としてはかなり好きな感じなので満足。(いいのかこれで

紅茶&フレーク→まず紅茶少ない。なにこのほんのりのほんのり風味。色変わるくらいぶちこんでやればよかった。後フレークだけど、クッキーの「サクッ」とフレークの「カリッ」がお互いを認め合ってくれないw
なにこの二大食感。まあ生地は流用なので普通に食える。


       
ふと気付いたけど、昨日と今日の記事見ただけじゃ、とても小説ブログじゃないw
気を取り直して、土日に何か小説を載せたいと思います。

絵とか写真とか | trackback(0) | comment(6) |


2010/02/24 (Wed) もちまろ。

プロフィール用に何か画像を用意したいとずっと考えておりました。
そこで昔のノートを引っ張り出してきたら、弟と一緒に書いたらくがき発見!
着色。

もちまろ。

・・・・・かっ、かわいい!! よね?

ノートの隅を見ると解説が。
モチマロ。餅とマシュマロの子供。・・・らしいですよ。

モチマロくんをどうぞよろしくおねがいします。

なかよし
もうひとつは写真。二年前くらいに撮ったやつですが。
仲のいい様子が可愛くてこっそりぱちり。花鳥園という名前のところで撮りました。
人なつっこい鳥さんだらけで幸せでしたよ。

これからは写真も載せてくかもです。

絵とか写真とか | trackback(0) | comment(5) |


2010/02/12 (Fri) No.17 COLOR&COLOR

-断片集-
No.17 COLOR&COLOR

真っ白な空間。

病室。

二人。

君と僕。

会話。

他愛もない会話。

紡ぐ。

紡ぐ。

紡ぐ。


色って、人によって見え方が違うらしいよ

よく聞く話だ

そう。よく聞く話

それがどうかしたのかい?

この世の中は、沢山の色で彩られているでしょう

そうだね。色がなかったら、君も僕も輪郭だけだ

その輪郭さえも怪しくなるけれど。私が言いたいのは、美術家が散らした絵の具も、焼き付けた山頂からの景色も、毎日こちらを見下ろしてくる空の姿も、全てが一人一人に違う専用のものであるということ

随分とロマンチックだね

逆。私とあなたはずっと一緒にいるのに、同じものは一つも見ていない。悲しむところでしょう

そんなものかな

そんなものよ


会話の終了。

緩やかな沈黙。

重くもない。

軽くもない。

優しい沈黙。

窓際に向かう。

カーテンを開く。

差し込む光。

白に映える光。

口を再び開く。



雪が降ってる

本当。綺麗ね

綺麗だけど、見ているものは違う?

そう。この雪の白は、あなたの黒かもしれない

それは怖い。黒が降ってくるなんて勘弁だ

だけどそれが私の白かもしれない

この感覚も君と僕とで異なるということ?

それは分からないよ

でも君は僕と一緒にいる

そう。一緒にいる

時々分からなくなるよ

それでもいるよ



不思議な距離。

心地よい距離。

他愛もない会話。

けれど少し変わった会話。

僕は振り回される。

相変わらず君は。

ポエムなんかを、ずっと考えている。



思いつきで始まって、そのままのノリで書いて、そのままのノリでリンクさせました。
とにかくいろいろとチャレンジしてみました。まさにこのカテゴリにふさわしい。
さらっと流して読んでいただければ幸いでありまする。

断片集 | trackback(0) | comment(3) |


2010/02/09 (Tue) やっほい

本日、推薦入試の結果発表だったのですが、無事合格することができました!!

センターの判定ではD判定で、一般の方は諦めて一つランクを下げていたのですが、奇跡的に推薦で第一志望校に合格できました!
キャンパスに一目ぼれして、本当に憧れていた大学なので、ものすごく嬉しいです。

今までいろいろなアドバイスや、励ましのお言葉を下さった方々に、本当に感謝しています。
本当に、本当に、ありがとうございました!


少し時間に余裕が出来てくるので、創作活動の方もまったりやっていきたいと思っています。

それでは、これからも「境界線」をよろしくお願いします!!

日記 | trackback(0) | comment(5) |


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