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2008/12/09 (Tue) No.1 まわる

毎日更新は無理。
いや、いきなりこんな出だしだけど、とりあえずはちょくちょく更新頑張りますんで応援ヨロシク。

今日はやっとこさネヴァーストアのセカンドアルバム買った。
リアルに金がないです。
日記終了。(あ

とりあえず、超短編集的な感じで、よく分からん小説のような、詩のようなものを載せていきます。

パッと思いついた物事を手当たりしだい出力していこうと。
そんな短編?いや断片集。

ネタ帳とも言えるのかもしれない。
とにかく俺の中で生まれたことを形にしようというだけなので、面白くはないです(笑

それでわ。


-断片集-
No.1 まわる

「この地球は、時速1000km以上で動いているんだよ。」
いきなり、あいつはこう言った。
ずっと机に突っ伏し、つまらなそうな顔をし続けていた俺に。
「随分と退屈そうだね。
 もっと楽しみなよ。」
こちらが無視をしても、妙な笑顔でこちらへと話しかけてくる。
「・・・何をだよ。」
いいかげん鬱陶しかったが、いつまでもこのまま話しかけられていたら気が狂ってしまうようだったので、とりあえず聞き返す。
「だから、今僕たちがこうして立っている地球は、ものすごい速度で動いているんだよ。」
何を言っているんだ、こいつは。
変人なのか、こちらに喧嘩を売っているのか。
俺は少し口調を荒げて、
「それがどうした。」
と言った。
すると、その返答が余りにも意外なもののように、目を丸くさせたあいつ。
一瞬の驚きの後、すぐに俺へとあたふたと話し始める。
「だって、僕たちはこの地球上にあるどの乗り物よりも早い、この地球に乗っているんだよ。
 どんな遊園地に行ったって、決して見つけることの出来ないエキサイティングな乗り物なんだ。」
いい加減にしてくれ。
なんで俺がこんなキチガイな野郎の話を聞かなければいけないのだ。
一発殴ってしまえばおとなしくなるだろうか。
いや、入学早々問題を起こすのも気が引ける・・・。
俺が自分の理性を保つのに必死になっているのにもかかわらず、あいつはずっと俺に向かって話してくる。
俺は逃避方法として、再び机に突っ伏して眠ることを選んだ。
あいつの声が睡眠を妨害しようとするが、人間本気になれば雑音さえ子守唄に変えられるものだ。
ゆっくりと眠りのあの不思議な浮遊感が俺を支配し始めて、意識の境目を知らずの内に越える。
ああ、この瞬間が一番幸せだ・・・。
そう思った瞬間。
頭をパンッと乾いた衝撃に襲われ、一気に現実に引き戻される。
あいつが叩いたのだ。
散々俺をイラつかせた挙句に、そちらから叩くとは。
怒りがピークに達した俺は、乱暴に立ち上がり、
「いい加減にしろよ!」
と叫んだ。
入学初日の休み時間とだけあって、ぎこちない調子でも、必死に親しくなろうと会話を続けていた連中が、一斉に俺を注目し、静かになる。
俺はそんな状況などお構いなしに、怒りの元凶へと拳を振り上げる。
中途半端な寝起きの俺のぼやけた目に、意外なほど芯の通った眼差しで俺を見つめるあいつの姿が映った。
その目は綺麗な光を灯していたものの、全てを見透かすようで、それほどに真っ直ぐに見つめられたことは、いままで経験したことがなかった。
振り上げた拳は頂点で止まったまま、全く動かなかった。
その様子も変わらず見つめたまま、あいつはさっきとは打って変わって、重く、ゆっくりと言った。
「君は、止まっているんだ。
 この限りなく変化を続ける高速の世界で、君はただしがみついて駄々をこねている。」
訳が分からなかった。
なんで、初対面のやつにこんなことを言われなくてはいけないのだ。
この状況は、余りにも理不尽で、俺にとってなにも得がないではないか。
けれど、相変わらず俺の拳は止まったままで、あいつの話をおとなしく聞こうとしていた。
「受身では駄目だ。
 あっという間に君は置いてけぼりになってしまう。
 ちゃんと乗りこなしてみてよ、このほしを。
 そうすれば、この世界の本質が、初めて見るものだときっと気付くだろう。」
変人だ。
俺からみても、周りからみても。
キチガイ以外のなにものでもない。
どうしてこんなやつに説教じみたことを言われなければいけない。
大体俺のことを何も知らないくせに。
あまりにも脈絡がなく、納得のいかないこの状況に、あきれて何もいえない。
しかし、あいつのほうを見ると、またあの真っ直ぐな眼差しに射抜かれる。
なんなんだ、こいつは。
なにか普通の言葉とは違う、重みのようなものを感じずにはいられなかった。
しばらくして、一度ため息をついた後。
拳を下ろし、今度は少し笑って、自分の名前を言った。
もしかしたら、これが俺を変えるきっかけかもしれない。
先ほどは怒って殴る寸前だったのに、今度は急ににこやかに自己紹介をしている俺。
これで、俺も変人の仲間入りだろう。
あいつは、俺にありったけの笑顔を返して、手を握ってきた。
俺はしっかりとそれを握り返す。
こいつは変人で、キチガイだ。
だけど、だからこそ他のやつらとは違う、意味のあるものを持っているのかもしれない。
とりあえずは、話でも聞いてやるか。
こんな変わったスタートを切るのも、悪くはないのかもしれない。
俺はそんなことを思って、握り続けている手によりいっそう力を込めた。

「んで、地球がどうしたって?――――」



はい、自分でも全く意味の分からんものができました。
記事投稿のところでそのまま打って載せてて、文体とか流れとか全く考えていないので、なんとなく雰囲気だけでも。
とりあえず今回は、「地球ってすごいんだね」ってことです(笑
またなんか思いついたら書くんでちょくちょく見にきてやってくださいなー

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断片集 | trackback(0) | comment(3) |


2008/12/15 (Mon) No.2 口径 is 9mm

短編打ち込み開始。
閃きで一気に書くのが中々面白い。
この部分かいてる段階では、書き手も読み手も結末の分からない同じ立ち位置ってのは、結構素敵じゃないでしょうか?
文章は荒くなるかもですが、よろしく!


-断片集-
No.2 口径 is 9mm


目に痛む白い光が灯されている部屋。
これほどまでに明るく照らしても、どうにも暗闇のぬぐえない部屋。
俺は、ここに閉じこもっていた。
外はもうクリスマスで浮かれ騒いでいるというのに、俺はいつものように暗い顔をしている。
思えば、もう一年になるのか。
ちょうど去年の今頃だったろう。
人生を黒で塗りつぶしたかのような、こんな暗い生活が始まったのは。
なにが原因だったかとするならば、全てだろう。
待ちわびていたキャンパスライフが始まり、寮生活が始まり、本当に新しいスタートを切った。
けれど、想像していたものとはかけ離れた講義、サークル、先輩、友人。
あの大学に入るまでに這いずり回ったあの時間はなんだったのだろう。
笑顔で無神経な応援を続ける親のためと、必死に一年間は頑張ろうとしたが、十二月を迎えたころに折れてしまった。
今もなお心配を続けてくれる親の顔は、この場所に留まり続ける俺への戒めにぴったりであったが、弱弱しい俺は、沸点を通り越し連絡もとらなくなった。
それでも送り続けられてくる食料や衣類に、最初は意地を張っていたものの、結局今ではこれに頼らないと生きていけないという、あまりにも情けない状態だった。

カチ、カチ、カチ。
時計は無情に時を刻み続ける。
まあ、過ぎ行く時間の所為にするには、塞ぎこむ時間が長すぎてしまった。
俺はどうすることも出来ず、ただただここで生き続けている。
カチ、カチ、カチ、カチッ。
秒針が跳ねていき、十二と重なる。
カチ。
十二月二十五日。
クリスマスに、なった。

相変わらず俺は虚を見つめ続け、意味もなく時間を過ごす。
ああ、またこうして長らえていくのかと、溜息をつこうとした瞬間。
「メリークリスマス。」
突然聞こえた声に、あまりにも驚いて咳き込んでしまう。
どこだ?どこから聞こえた?
混乱する俺に、再び声が降りてくる。
「こっち。こっち。」
ん?降りてくる?
そうだ、声は降りてきた。
ならば、この声の主は上に・・・
「―――!!!」
声が出なかった。
俺の目に映ったのは、少し宙に浮いたまま、ケラケラと笑って俺を見下す男だった。
しかし、男と分かったのは先ほどの声の音からであって、格好はピエロのメイクをした上にサンタクロースの衣装を着ているという、あまりに不気味な様子だった。
「やっと気付きましたね。はい、メリークリスマス。」
面と向かって聞くと、中々に齢を感じさせる声だった。
「メ、メリー、クリスマス・・・。」
やっと返した言葉がこれで、引き篭りすぎて少しいかれてしまったかと思った。
けれど、目の前に浮かぶ異常な光景には、意外と空想のものとは違うリアリティがあった。
確かに、目の前にこの男はいる。夢ではない。
根拠はないけれど、なぜか確信していた。
「憂いるアナタにプレゼントを差し上げましょう。聖なる夜に出会えた縁で。」
そう言うと、どこから取り出したのか、綺麗に包装された小箱をひょいっと投げて俺のほうへ寄越した。
広げた俺の手へと吸い込まれるように届いたその小箱は、俺の両手から少しこぼれるほどの大きさで、中身は空なのではないかというくらいに軽かった。
「・・・これは?」
恐る恐る、目の前のピエロかサンタの男に尋ねる。
男は相変わらずケラケラと笑いながら、頷いてみせた。
開けてみろ、ということだろうか。
俺は少し恐怖を感じながらも、小箱の包装を解いていく。
いつになく慎重に、丁寧に紙をはがす。
全てが解き終わり、箱を開ける。
「――――!」
中に入っていたものを見て、もう一度俺は声を失った。
そこに入っていたものは、黒く、圧迫感のある、あまりにも存在主張の激しい、銃だった。
実際の大きさよりはるかに大きく見えるそれは、先ほどの軽さとは打って変わってとても重く感じた。
恐ろしくもあるが、俺はこの銃に魅入られたかのように惹きつけられ、いつしか手にとってまじまじと見つめていた。
この男は、なにを企んでいるのだろう。
これを俺に使わせて、白い聖夜を紅に染めようとでも言うのか。
ニヤリと笑いながら、目の前に浮かぶ男を睨む。
そうすると、男はまたケラケラと笑った後、言った。
「それは、全てを壊すことの出来る銃です。
 モノだって、人だって、社会のルール、秩序さえも。
 使い手が願えば、その想いが弾丸としてその銃に込められます。
 しかし、一度しか使えませんからね。よ~く考えて使ってください。」
一息にそう言った後、一段と大きくケラケラと笑ったかと思ったら、いつの間にか俺の前から姿を消していた。
あまりの唐突さに、たちの悪い夢かと思ったが、手に握られた黒の重さが俺に現実だと再認識させた。
全てを、壊せる、か。
どうしようか。
あの男は、一度しか使えないから、よく考えろと言っていた。
しかし・・・。
俺の頭によぎるのは、今までの苦しみ以外のなにものでもない記憶。
嘲るように笑う人の顔。
打ちひしがれた俺の顔。
ぐるぐると俺の頭を駆け回る。
俺はもう、疲れたんだよ。
たとえ破壊によって今の状況が改善されても、俺は俺を生きることに疲れたんだ。
いや、違うな。
この、無機質で無情な世界で生きることに疲れたんだ。
無意識のうちに世の中へと失意の矛先を向け、俺は願う。
そうだ、俺の壊したいモノはただ一つ。
俺がこうして生きている、このセカイだ。
カチャッと軽い音がして、握っている黒が重さを増した。
弾丸が一つ確かに込められているのを手で理解した。
俺はこのセカイを作った神でも恨んだのだろうか、腕を天へと堂々と上げ、引き金を引こうとした。
だが。
俺の腕は一人でに曲がり、天へと向けられていた銃口は俺のこめかみへとくっついた。
ゴリッと銃口をこすり付けられる感触がして、頭が混乱していると、先ほどの声がする。
「うーん、つまらない。
 もっと苦悩して、もう少し面白い解を出すことを期待していたんですが。
 大体、アナタのような人にセカイが簡単に壊されていたら、大変なんですよ、いろいろと。
 天に向かって撃とうとしたときはヒヤリとしましたよ。」
姿は見せず、変わらない笑いを織り交ぜながらの声だった。
「くそ、所詮は化物の暇つぶしかよ・・・。
 だが、俺は誰かに命令されたり、動かされたりするのが一番キライなんだよ。
 テメェ見たいなクサレ道化に殺されてたまるか。」
俺はそう言って、ありったけの力を腕にこめ、銃を叩きつけた。
人ならぬものに逆らった所為か、片腕は使いものにならない状態になってしまった。
しかし、かまうものか。これから死ぬのだから。
あんな男によって殺されるくらいなら、俺は自分の意思で終わらせよう。
部屋に唯一ある小さな窓目がけて、俺は突進していく。
力いっぱい窓を開ける。力を入れすぎた所為で窓ガラスが割れていた。
気になる分けないだろう。俺は飛んだのだから。
ここは三階。
地面へとたどり着くのが、酷く、速かった。

ああ、さようなら――――。

「どうだったでしょうか?
 よく考えろって言ったのに、つまらない結果でしたね。
 私を悪魔のようだと思われるかもしれませんが、それもあながち間違っていないでしょう。
 結局のところ、ピエロなのかサンタなのか、ハッキリしませんでしたね。
 しかし、私も普通の人と同じように、本質は中、着飾るのは皮でありますよ。
 ・・・今回のような人間は、世を恨み、破壊の力ばかりを懇願します。
 けれど、破壊か創造かと問われたら、欲しいのは創造の力でしょう。
 嫌なものがあったら、壊さずに上から創ってしまえばいいのですから。
 心が乏しいものには、こちらに考えがおよばないでしょうなぁ。
 破壊と創造は表裏一体といってしまえば、それで終わりなのですが。
 今度はひげでも伸ばして、道化師の服を着て、創造を振りまいてみてもいいかもしれませんね。
 ところで、先ほどの破壊の銃。
 使わず終えるなど今までない例ゆえ、その場に残ってしまっていたのですが、部屋の片付けをしていた自称友人が見つけてしまいまして。
 これまた卑しそうな人相をしておられる。
 これをきっかけに、また一騒動ありそうですが、また今度の機会にでも。
 それでは、良い聖夜を。メリークリスマス。」

                          おわり

なんちゅう、ダーク作品でしょうか。
まあ、最初から狂気じみたものにしようとは考えていたけど。
もう少しで、クリスマス。
アナタのところに、破壊or創造がもたらされるかもしれません・・・?

断片集 | trackback(0) | comment(2) |


2008/12/24 (Wed) No.3 キセキニノボル


小説はちょっと書けそうにないので、一年以上前にコミュニティサイトに投稿していた詩を載せます!←苦し紛れ

今回は「キセキニノボル」。
小説「鬼籍に登る」よりずっと前に書いたもので、内容すら小説を書いている間は覚えていませんでしたが、なんとなくリンクする部分がある気がしないでもない。



-断片集-
No.3 キセキニノボル

目の前でいつものように眠る、君。
その手からは、肌色が消えていて、
繋いだことを忘れようとしているみたい。
それでも笑いかけてくれるその白い顔は、
土に埋もれていった。

凍えて砕ける、その想いの名は「約束」
切なさにとろける、その想いの名は「約束」

月は星を望む。
君は星と唄う。

僕が星になって会いにいっても、
きっと君は喜ばないだろう。

だから。
僕は君の目の前に居る。
でも、君は僕からずっと遠いところにいる。

だから。
僕は君に話しかける。
君は答えてくれる。
でも、君は問いかけてこない。

どこかで、
ずっと目を閉じていると見えるのが
地獄だと教わった。

だけど。
今僕は、
確かに君の姿をこの瞳に映しているはずなのに、
地獄に見えてしまうんだ。

―――大切な人が、どこか遠くへ行ってしまう。
    それはとても苦しくて、痛くて。
    別れを告げて終わりなら、こんな気持ちはない筈なのに。―――


サイト内のコメントも、まんま転載。
これからは、詩も「断片集」として載せていこうと思います。 

断片集 | trackback(0) | comment(3) |


2009/03/02 (Mon) No.4 流れ

更新せずに一ヶ月たちそうだったので更新ー
とりあえず、投稿サイトからまた詩転載しときます。

-断片集-
No.4 流れ

陽が昇る前の、深い夜

たった一人でいて、何の音もしないのに。

僕自身の心の奥底は、いくらのぞいても見えそうもない。

退屈な世界は流れる。

その流れに逆らう者を、人は勇敢とは言わず笑う。

なぜ笑っていられる?どちらが正しい?

そう言いたいはずの僕の顔は周りと同じ表情を作った。

本当の自分をさらけだすのは、とても難しい。

隠して、飾って、流されていく。

みんなこの流れの先に広がるのが、楽園だとは決して思っていない。

けれども、自分に言い聞かせる。

これでいいんだって。



―――空気を読む。それはとても大切なこと。
    例えそれが自分自身を押し殺していたとしても、必要なときがある。
    だけど、僕はできれば、大人になったとき笑われる側で居たい。
    きっと、無理なことなのだけれど。―――

一年半ほど前の作品。
別に反抗期とかそういうわけではなかったはず(笑

ただ、どこか大人に向けて発信したつもりの詩だったのが、同世代の人に共感してもらえたのが意外だった。
まあ、この詩に込めた想いなんて露骨なんだけど、伝わると素直に嬉しい。
自分が持っている思想を、詩や小説として形にすることで、少しでも伝えられるのが好きだから、下手なりにも表現者でありたいと願うんだろうなぁ・・・

断片集 | trackback(0) | comment(6) |


2009/05/02 (Sat) No.5 あなたと 上

なんか勉強集中できなくなってきて、適当にPCいじってたら急に思いついたんで短編書きます。
断片集くらいのボリュームでと思ったら、書ききれなさそうなんで上下に分けようかと。
近いうちに完結するはず。

勢いで書いてるから設定とかかなり適当かも。
きっと後々読み直すと恥ずかしい作品ってタイプだね。自分でわかる 笑

黒目はなんだかクリスマスを汚したいのかもw
嫌な思い出とかあるわけじゃないですよ!

口径9mmといい、今回のやつといい、黒目ワールドでのクリスマスは幸せになるの難しいようです。
あ、でも今回はハッピーかも。自分でもどうなるか分からんけどね。
前置き長すぎた、でわどぞ。

-断片集-
No.5 あなたと

❄0❄

あなたはいつも何を望み、この世界の何を見据えていたのだろう。
当然のように毎日を過ごすこの世界の中、一人違う流れに身を投じているあなた。
本当の気持ちというのを、私は見たことがあったのだろうか。
あなたは常にこの世界に不可欠な者としてあり続けた。

どう考えても、私は釣り合うような存在ではなかった。
けれど、確かに私が見ていた笑顔は、愛すべき人間のものだった。
そう、信じている―――

❄1❄

クリスマス・イヴ。
私は華やかな街の隅で小さく沈んでいた。
あまりにも突然なお別れに、どうしていいか分からず、ひとりイルミネーションの光を浴びる。

私が、悪かったのだろうか。
彼が、悪かったのだろうか。

そんなことも分からないほど、私と彼はすれ違っていたのかもしれない。
不思議と涙の気配はなくて、当たり前だった彼の存在がなくなったことで、ただただ心に空白ばかりが生まれる、そんな感じだ。

愛情なんてものはなかったかもしれない。
二年近く付き合ったことで、お互い抱いていた感情も曇り、惰性で必要としていたのかもしれない。

そう思って今ここからさりげなく立ち去ろうとしても、それが出来ないところに、かつての感情が見え隠れして嫌だ。

誰か、ここから連れ去ってくれないだろうか。
頑固に地面にへばりついて、いまだに彼の後姿を追いかける私を、馬鹿だと笑ってくれないだろうか。

「―――君、ひとり?」

急に声をかけられて、ビクッと体が反応した。
いつの間にか横に、自分と同じくらいの年齢――ちょうど二十歳くらい――の男の子が座っていた。

流石に多少警戒して、距離を置こうと思ったが、不思議と嫌な感じがしない。

「・・・さっき、ふられた。」
何の面識もないのに、いつのまにか私は口走っていた。
自分で自分が何をしたいのか分からない。
だから、とにかくその瞬間に思い浮かんだことをしようと思った。
自暴自棄、というやつだろうか。

「やっぱり。クリスマス、なのにね。」
白い息を宙で躍らせながら、男の子はしみじみと言う。
「やっぱり?どうしてそう思ったの?」
今度は、手袋をしていない寒そうな手を、わざとらしく擦り合わせている男の子に聞くと、
「僕は、分かるんだよ。
 人の負っていうのかな。
 今なら、君におもーく乗っかってる、その悲しみとも怒りともとれないような、そんな感情。
 僕には、わかるんだよ。」
得意げに語って、後は色とりどりに光る街を見上げて黙ってしまった。

「答えに、なってないじゃない。
 どうしてそれが分かるのかを、知りたいんだけどな。」
少しの沈黙の後、意地悪く言った。
そうすると、男の子はクスッと小さく笑って、こちらを向いた。
目が合う。
優しい、黒い瞳。
柔らかく笑うその顔に、自然と鼓動が速まる。
「僕は、そういう仕事を任されているからね。
 当然、こんな力は持ってなくちゃいけないんだ。」

・・・。よく、意味が分からない。
カウンセリングのような仕事をしているのだろうか。
それにしても、この年齢でそのような仕事をしているというのはあまり聞いたことがない。
思えば、今こうして見ている間の、一つ一つの仕草が子供っぽいせいで、実年齢より幼い印象を受けているのかもしれない。
あれこれ考えていると、彼は声をかけてきたときと同じくらい急に、立ち上がって暗い路地へと消えていこうとした。

何故か私は彼ともっと話したいと思って、引きとめようとして立ち上がったのだが、あまりにも長時間座っていたのと、冬の寒さに足が痺れて、豪快に転んでしまった。
図らずも一応彼は私の元へと戻ってきてくれて、助け起こしてくれた。
「あ、ありがと・・・。」
恥ずかしくて顔を赤らめていると、
「君は、大丈夫だよ。
 もう、重荷はもらったから。」
どういたしましての代わりに、また意味の分からないことを言う。
ぽかんとしていると、今度こそ彼は暗い路地へと消えていき、私はまたひとり。


なんとなく彼がさっき見つめていたイルミネーションを見ると、そこには寄り添いあう王子とお姫様の人形が微笑んでいた。

私は、追いかけようと思った。
このまま嫌な思い出だけでクリスマスを終わらせたくなかった。
ただの我侭だけれど、彼なら、あの優しい黒い瞳を揺らして、私を迎えてくれる気がした。
痺れたままの足を叱咤し、ぎこちなく走り出す。
暗い路地には、イルミネーションの光が名残惜しそうに淡く漏れ出していた。


❄2❄

なんで、こんな走りにくいものを履いているんだろう。
何のためにお洒落なんかしていたんだろう。
彼を追いかけるために、私には邪魔なものが沢山あった。
その中に、前の恋への想いも含まれていて、私はそれを思い切って投げ捨てた。
軽くなる。速くなる。
彼が、近づく。
今は、あなたと話したいんだ。

「・・・待って!!」
乱れた呼吸の中、なんとか絞り出した声で、彼の背中を引き止める。
振り向いたときの彼の顔は思ったとおりの困り顔で、その後はやっぱり笑顔だった。
「どうしたの、忘れ物?」
からかうように、笑いながら言う。

追いかけてきてるんだから、忘れ物な訳ないじゃない。
まあ、こういうときの決まり文句みたいなものってことだろう。


忘れるどころか、いろんなものを捨ててきたよ。
だから、あなたに新しくなにかをもらわないと。
それとさっき言ってた重荷をもらったってどういうことかな。

話したいけど呼吸を整えるのに必死で、とにかく私は彼を留めていたくて。
「お、お礼!
 さっきのお礼するから、どこかでお茶でもっ。
 お、お願い!」
それだけ言って、私はくたびれてしまった。
彼はまたクスッと笑って、一言、
「いいよ。」
と言ってくれた。
どうせやんわり断られると思って次の台詞を考えていたので、少し驚いた。

「・・・その前に、はい、これ。」
と、彼は唐突にポケットティッシュを手渡す。
「え、なにこれ?」
突然のことに私が聞く。
「そこで配ってたんだ。寒いのに、よくやるよね。」
「いや、そうじゃなくて、なんで今、私に――」
今度は少し困ったようにクスッと笑った後に言った。
「えっと、鼻水。」
「・・・。」
あまりにも恥ずかしくて声が出なくて、奪うように彼の手からポケットティッシュを受け取り、顔の前で広げる。
そこで、気付いた。
ずっと、ずっと頬を伝っていた涙。
「え。あれ・・・?」
これは、恥ずかしいからなんかじゃない。
もっと、前から。

彼は優しい顔を向けているだけで、何も言わない。

止まらず伝う涙に、私は負けた。
少し、声を上げて泣く。
願わくば彼の胸の中でと思ったけれど、流石にそれは我侭すぎる。

陽気なクリスマスソングが響く中。
二年近い歳月の清算には、少し時間がかかりそうだった。



まだここまでしか書いてないす。
なんとなくで書きすぎてるような気がする今回。
オチというか、書きたいことは決まってる。
仁&七で挫折したことを、短編でまとめようってのが今回の目的でもあります。笑
未完のままには絶対にしない!!


・・・たぶん。

断片集 | trackback(0) | comment(2) |


2009/06/12 (Fri) No.5 あなたと 下

やっとこさ書き終わった。
正直、うん。あれだけど・・・
まぁ、とりあえず読んであげて↓

-断片集-
No.5 あなたと


❄3❄
クリスマスだけあって、店内はカップルで埋め尽くされている。
周りから見れば、間違いなく私たちもその中に含まれているだろう。

とりあえず私は冷えた体を温めたくて、ミルクココアを注文した。
ところが、彼は何も頼まなかった。
「何も食べることはできないんだ。」その台詞はただ単に遠慮しているだけだと思った。

「みんな、幸せみたいだな・・・。」
細々と私がココアを啜っている間、彼は店内を見回してつぶやくように言った。
チラッと覗き見たその表情は、とても満たされているようだった。

「さっき・・・」
「・・・ん?」
あまりにも満足気なその顔に、話を切り出すのをためらってしまった。
「・・・さっき、私に『重荷はもらったからもう大丈夫』みたいなこと言ったよね。
 あれ、どういう意味?」
「どういう意味って、さっき言ったとおりだよ。
 それが、僕の任された仕事。」
いまいちかみ合わない。
「それが、よく分からないんだけど。」
しつこくなってしまう気がしたけど、同じように訊く。

彼は洒落た木のイスに座りなおして、小さく咳払いをする。
「えっと。さっきも話したように、僕は苦しみとか、悲しみとか、そういったマイナスの感情が分かる。
 それは僕にとっては至極当然なことで、君がこの机やイスを『認識』して『干渉』する感覚となんら変わりはないんだ。」


・・・分かるような、分からないような。
それに、急にこんな話をされても、信じる方が無理な話だ。
出会ったときから、私はずっとからかわれているんじゃないのだろうか。そんな気もした。

「・・・信じて、ないね。」

私の心情を察したのか、彼がこちらを見つめていう。

「え。ま、まあ。あまりにも急、だから。」

そういうと、彼はふうと息を吐いた後、変わらない仕草でクスッと笑う。

「まあ、すぐに信じる人がいたらそれはそれでどうかと思うけどね。
 ただ、僕にとっては全然変じゃないんだ。
 そして、この力があるからこそ、やらなければいけないことがある。」
 
「それが、任されている仕事?」
せめて話しやすいようにと、相槌を打つ。

「ああ。人々のそういった負の感情を、回収していくんだ。
 幸せへと、繋げるためにね。」 

やっぱり理解の範囲を超えるスピードで進む話に、ついていけなくなりそうだ。

ただ、回収。その言葉だけが少し引っかかった気がけれど、すぐにその感覚は消えてしまった。

「回収って・・・
 取り除いちゃうってことでしょ?
 その、辛い気持ち、みたいなものを。」

「うん。
 だけど、それこそあと一歩で間違いに走りそうな、そのくらいの量のものだよ。
 昔はそれほどだったけど、今はもうこーんな量でも日常茶飯事。」

そう言って両手を広げて『量』を表現するけれど、私に分かるわけがない。

「そうやってみんなの心の安定を保つために、世界中を集めて周ってるんだ。」

!!
「世界中?」

「当然でしょ?日本だけじゃないよ。
 こんな悲しい状況になっているのは。
 もっと酷い状況の場所なんていくらでもある。
 その度、僕という存在は必要とされるんだ。」

彼はその仕事に誇りを持っているのだろう。堂々と話してくれる。

正直、いまだにそんな話信じられるわけがない。
けれど、彼が真面目にこんな嘘をつくとも思えない。

どう反応したものかと、表情を伺っていると、さっきの感覚が戻ってきた。
引っかかっていた『回収』という言葉。
なぜその負の感情を癒し、消去するのではなくて『回収』なんだろう。
今、確かに彼は『集めて』周っていると言った。
集めたその感情はどうなるんだろう・・・?
そう思ったときには、浮かんだ疑問を彼に投げかけていた。

「・・・・。」
彼は、困ったような顔をして、少し俯いた。
まさに言葉足らずな少年が取るような態度で、彼に対するイメージの不安定さを露骨に表していた。
これは、何か彼にとって都合の悪いことを聞いてしまったようだ。



ふと、得体のしれない不安のようなものがこみ上げてきた。
彼の事情に深入りするほど親密ではない。
赤の他人といってもさほど変わらない関係だ。
なのに、私は彼に詰め寄った。
隠している。
それを知りたいと思った。知らなければ、彼はずっと遠くへ行ってしまう気がした。



「ねぇ、どうなるの?」
いつまでも押し黙って、沈んでいく彼に、私はしつこく噛み付いた。
「・・・・・・。」
彼は、一向に答えることはなかった。

「もしかして・・・。
 あなたが全部、背負っているの?」
はっと頭に浮かんだ考えを口に出すと、彼は少し体をピクッと跳ねさせた。
相変わらず彼は口を開こうとはしないようだけど、今までと少しだけ違うその動作が答えを出していた。

「・・・。参ったな。」
暫らくしたあと、肩をすくめながら、彼はひとりつぶやいた。

そのまままた黙ってしまう気がした私が、追及しようと身を乗り出した瞬間。
彼が大きな掌をこちらへと広げて、私を制した。

その仕草には、今までの彼にはなかったじんわりとした冷淡さがあって、私はイスにぺたんと座りなおした。

手を元に戻して、彼はすっと立ち上がる。

「あっ・・・。」
反射的に、引きとめようと服の裾へと手を伸ばす。
けれど、彼は軽く体をひねってあっさりと私の手をかわした。

こうして見上げてみると、案外彼は背が高い。
ぼうっとそんなことを考えていると、彼がまた優しい顔で言った。

「ごめんね。勝手に君を巻き込んじゃって。
 僕から近寄っておいて、こうして逃げるように君から離れようとしてる。
 ホント、ごめん。」

穏やかな口元から、淡々とはきだされた彼の謝罪に、私はどうしようもできなかった。
そんな顔で、私に謝らないで欲しい。
最悪の聖夜になるはずだったのを、あなたが変えてくれたのに。

彼はとても卑怯だった。
いろいろな感情が泡のように私の中で弾けても、彼の表情を見ると、到底音になりえない脆い空気が口から漏れるだけだった。

そうして私があたふたとしていると、彼はスッと今入ってきたばかりの、店の出入り口へと向かう。
追いかけていたときの方がずっと距離があったのに、狭い空間の中で見る彼の背中はとても遠いもののような気がした。

彼が扉を開けると、向かいのおもちゃ屋さんのイルミネーションの端っこが見えた。
確か、サンタクロースが服に収まりきらない丸いおなかを嘆きながら、笑顔でプレゼントを配っている絵が照らされていた。
私が見ているのはその顔の部分だけで、彼の背中が暗がりに消えた後、扉が閉まるまでサンタの笑顔はこちらを覗いていた。

店員がずっと持ってくるタイミングを失っていたのか、今になって私の元にミルクココアが届く。
それでも私は、向こうにあるサンタクロースの笑顔を思い浮かべながら、閉ざされた扉を見つめていた。

すると、自分の存在に気付いてもらいたいかのように、私の顔にミルクココアの湯気が触れる。
ほんのりとした暖かさがそれにはあって、私は無表情のまま、ココアを啜った。

あったかい。

喉を鳴らす度に、体の中からじんわりと熱が広がっていって、ごちゃごちゃだった頭の中にも、甘さと共にやってくる。


何を、迷っているんだろうね。
何で、迷っていたんだろうね。


さっきみたいに、走り出せばいい。
今は軽いのか重いのかわからないけれど、次は私の番なんだろう。


確かな決意を持って店を出ると、先ほどのイルミネーションが目に入る。
けれど、私の記憶違いで、そこにあったのは笑顔のサンタクロースが働きつかれたトナカイを愛でている絵だった。

「本当の、笑顔だったんだね。」
私は一人、鮮やかな光たちにつぶやいてから、走り出した。
大切なことを、伝えるために。


❄4❄
走る。
甘い香りと、華やかな彩色に満ち溢れた夜の中を。
今度は、軽いわけではなかった。
重いのに、速い。
あなたへの想いがそうさせているなら、なおさら私はあなたの元へ辿りつかなければ。

白い息を大きくはいて、冷たい空気を吸い込む度に、沢山の笑顔が見える。
あなたは、立派だよ。
こんなに沢山の人を幸せにするなんて、私にはできっこない。
いじけて冷たい地面にへばりつくような私には。

けれど、この想いを、たった一人に届けるのなら、私にだって出来るかもしれない。

あてもなく走り続けていると、少し溶けている雪の表面に足を滑らせて、尻餅をついてしまった。
今日二回目だ。
あのときは、あなたが助け起こしてくれたことを思い返して、少し見上げると、くすんだ夜空が見えた。
さっきまでは、とても透明感があった気がしたのに。
そんなことを思ってもう一度見上げたとき、私は気付いた。

透明感があった気がした。そのとおりだった。
今は、濁りない夜空を、曇った靄のようなものが覆ってしまっているのだ。
目を凝らすと、靄は雲よりもずっと速く動いていて、どこかへと集まっているように見えた。

それを見て、私は確信した。
あれこそが、彼の言っていた、「マイナスの感情」というやつだろう。
少し注意すれば、明らかに異常な光景であるのに、周囲の人たちはいたって普通だ。

もしかしたら、彼の話を聞かされたり、実際に『回収』を体験しているだけあって、私だけは特別に見えているのかもしれない。

私はまた走り出した。
とにかく、靄が集まっている場所を目指す。
きっと、彼は最後にこの街全体に『回収』をかけて、二度と私の目の前に現れないだろう。
そんなのは、絶対にいやだ。

いつも運動なんてしないのに、急に相当な距離を走っているだけあって、冷たい空気が肺に刺さるように痛い。
けれど、私は走るのを止めなかった。
靄が流れ行くよりも速く、彼の元へと急がなければいけないから。

私自身この想いに確かな形を持つことができているのか分からない。
それでも、これだけ走ることが出来るのは、間違いなくこの想いのお陰なんだ。

やがて、辺り一面濃い靄で囲まれた、異様な光景が見えてきた。
確かあそこは、誰も出入りしない、廃墟になったビルだ。


辿りついたその灰色の壁を見上げる。
彼はきっと、この上にいる。
感情の整理なんて、する暇はない。
ただただあなたに会いたい。話したい。伝えたい。
それだけなんだ。

❄5❄
季節に似合わない、大粒の汗を流しながら、階段を登る。
当然のようにエレベーターは止まっていて、何の反応もなかったからだ。

外を走っていたときとは違って、淀んだ空気が次々に私を襲って、思うように呼吸ができない。
おまけに、怖くないと言ったら嘘になる暗い空間に加え、無機質な段差が並ぶだけの景色は確実に私から体力を奪う。

それでも、一段一段上がるたびに、彼の存在が近づいているのが分かるのが、唯一の救いだった。
ひどく遠いものだと感じたあの背中。
今度こそ、私は引き止めてみせる。

気持ちはしっかりと持っていても、そろそろ身体が限界を訴え始めた。
普通なら何の苦もなく登れる段差が、とてもつらく感じる。

上がりきらなかったつま先が、段差に引っかかり転びそうになる。
なんとか踏ん張って、体制を立て直し、更に上を目指す。

なんだか、涙が出てきた。
辛いからかもしれない。
彼に会えるからかもしれない。

はっきりとは分からないけれど、言い様のない、大きすぎる感情のようなものが私の胸をひたすらに圧迫する。
呼吸だけできついのに、声まで出始める。
泣いている。私は、泣いているんだ。
意味が分からないけれど、私は泣きながら、ひたすらに彼を目指して階段を登っている。


そろそろ屋上が近くなってきた。
噴出す汗を、右腕でグッと拭ったときだった。
私の胸の奥から、一筋の靄が、すうっと上へと流れてゆく。

びっくりして、私はその靄を掴もうと手を伸ばしても、私に触れることなく靄は舞っている。
「・・・・・・ッ!!」
涙を撒き散らして、唇を震わせる。
叫ぼうとしても、酸素が足りなくて頼りない空気が漏れるだけだ。

靄を追うように足を速める。

やめて・・・。やめてよ・・・。
それは、『マイナスの感情』なんかじゃない!
確かに今も辛くて、心が折れそうで、涙も流れているけれど。
これも、『あなた』を想う中に含まれているのだから。

辛い感情、悲しい感情だって、とても大切なんだ。
私があなたを想う、とても大切なコトの一部なんだ。
だから、だからっ・・・!!

「返して・・・!!返してよ・・・!!!
 私の想いを、返して!!!!!」

とっくに限界を超えた体力の中、目一杯手を伸ばしながら、最後の数段を跳んで一気に登った。

屋上へと出る扉は破られていて、私の視界に真っ黒の靄と、その中心に倒れる彼を見つける。
「・・・!!」

私は彼に駆け寄る。
頭を抱いて持ち上げ、自分の膝の上にのせ、顔をうかがう。

本当に『青色』と表現してもいいくらい、彼の顔は青ざめていた。

虚ろな目で私を認めると、彼は無理にクスッと笑った。
「見られたくなかったのにな。こんな姿・・・。
 情けないよ。」
そうつぶやいている最中も、彼の中へ次々と、真っ黒な靄が入り込んでいく。

私は彼に覆いかぶさってみたが、私の体を通り抜けて、靄は彼にはいっていく。

「もう、やめようよ・・・!!!
 何で、こんなことするの?
 あなたが、辛いだけじゃない・・・!!」

私は泣き散らしながら彼に訴える。
それでも彼は、首を弱弱しく横に振った。

「これが僕の、使命なんだよ。
 大丈夫、もう何回もやってきたから。
 僕が、少し我慢するだけでいいんだ。
 それだけでみんな、幸せになれる。」
苦しいはずなのに、彼は本当に穏やかな表情で言う。

そんな自己犠牲の考えが吹き飛ぶくらいに、その頬を叩いてやりたかったけど、彼の表情はやはり私に何もさせなくする。
ただ、私の想いが彼に伝えることができないのが悔しくて、彼の手をギュッと握って、声を張り上げた。

「馬鹿じゃないの・・・!!!?
 あなたが犠牲になって得る幸せは、幸せとは呼べないんだ!!!
 あなたがそれで満足でも、私は辛い!悲しいの!!
 目の前の女を泣かせておいて、みんな幸せになれるなんて言わないで・・・!!言わないでよ・・・。」

彼が困った顔をするのが分かった。
それもそうだ。
今日出会ったばかりの女が、今までの彼の『生きがい』そのものを否定したのだから。
それでも、彼に気付いて欲しかった。

辛いことを取り除くのが、必ずしもいいことではないことを。
私が、どれだけあなたを想っているかを。
我侭だけれど、今度は両方気付いて欲しかった。
だから、私はここにいるんだ。

そのとき。
登りきる直前に私から出て行った靄が、大粒の涙が彼の服に染み込むのと共に入っていった。

彼はビクッと体を震わせ、一瞬目を見開いたかと思うと、穏やかに目を閉じて静かになった。
恐ろしい考えが私の脳裏をよぎって、更に涙が溢れ出ようとした瞬間。

集まっていた黒い靄が散り散りに舞っていき、それぞれの方向へと流れ始めた。
真っ黒だった周囲も段々と平常の景色と戻っていく。

これは、もしかして。

彼の中からも、靄の筋が空へと上がっていく。
段々と彼の顔も肌色を帯びてきて先ほどの苦しみは全く感じられなくなった。

やがて、異様だったあの光景の名残もなく、ビルの屋上からは鮮やかな街並みが見える。
間もなく、彼は目を覚ましてゆっくりと起き上がった。

虚ろだった目もしっかりと光を灯し、優しい笑顔を私に向けてくれた。

また、いろいろな感情が私の中で弾けたけれど、やっぱり言葉にはできなくて。
代わりに、思い切り彼に抱きついた。

突然の行動に戸惑っていた彼だったけれど、そっと私の髪を撫ぜて、
「ありがとう」
と言った。

しばらくそうした後、彼は私をそっと離して、イルミネーションに染まる街を見つめる。

その横顔には、不安そうな色が混じっていた。
今まで、彼は本当に使命のためだけに生きてきたのだろう。

「やっぱり、不安?」

彼の横で、同じように街をみつめながら言った。

「・・・気にならないと言ったら嘘になるね。
 やっぱり、僕が守ってきたのだと、自惚れている部分もあっただろうから。」
彼の複雑な心情が、言葉の中から伝わってくる。

「でも、きっと大丈夫だよ。
 あなただけが、特別な存在ってわけじゃない。」

「・・・?」
私が言うと、彼はこちらを覗きこんで不思議そうな顔をした。

「みんな、知ってるんだよ。
 あなたみたいに直接見て、取り除くようなことはできないけどさ。
 お互いにその感情を共有したり、慰めあったり、ぶつけ合ったりもして。
 そうやって、みんなで乗り越えるんだよ。
 だから、みんなちゃんと持ってるんだ。
 辛いとか、悲しいとかいう『マイナスの感情』をどうにかする力を。」
我ながら説教じみた恥ずかしい台詞で、言い終わった後、顔が赤くなってるのが分かった。

「・・・そっか。」

彼は、もう一度街並みを見つめる。
子供も、大人も、この聖夜を祝い楽しむ声で溢れかえっている。

今までそれを彼なりに守ってきたのだから、我が子を想うような気持ちなのかもしれない。

あの靄はそれぞれの人の中へと帰っていった。
それでも優しい笑顔で満ちる街を眺める彼の顔は、いつか見た満足気な表情よりも、穏やかに見えた。




夜風が二人を冷やかすように吹く。
なびく髪をおさえながら、あなたはこちらを向いて笑った。

これから先、私が狂わせた道を、あなたはどう歩むのだろう。

あなたは私に手を差し出す。

私は、その手をしっかりと握った。

必要とされるなら、私はどこまでもついていこう。

それは義務でもあるし、望みでもある。

あなたが、あなたを生きることができるまで。

あなたと、歩こう。


おわり。


はい。一応完結。
けっこう一気に書いたから、誤字脱字は多いかも。
今回は、いろいろと悔やまれることだらけな作品となりました。

書き始めからの勢いそのままにできれば、もう少し作品も変わってたかも。
描写が大雑把で説得力ないのと、ここ一番の展開の悪さが際立った。

んでも、次に生かせるだろ。多分。
なんか感想あったら是非是非。

・・・いい加減眠いんで寝ます。疲れたー

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2009/06/14 (Sun) No.6 エソラゴト

今日は久しぶりに詩を更新。転載ですが。
高1の10月ごろの作品です。

-断片集-
No.6 エソラゴト


少年は今日も空の下を歩く

だから見上げれば確かに空はあった

少年は上を睨み思う

空は絵のようだ と

何回見ても

目を細めても

少年にはあの雲も広がる青も

見事に描かれた絵にしか見えない

それはまだ空を近くに感じたことがないからなのか

自分のあまりの小ささに気づいていないからなのか

空の模様をなぞりながら

少年は今日も歩く



数えるほどしかまだ詩は書いてないですが、この詩は自分にとって最もよくできたものだと思ってます。
コミュニティサイトで公開したとき、いろんな人がこの詩に感想をよせてくれました。
タイトルが詩をよく表現していると言って下さった方、空が絵のように思える感性が凄いと褒めてくださった方、自分の空に対する見解をぶつけてくださった方。
この詩のおかげで、交流をたくさんすることができたし、空に対する様々な視点を味わうことができて、本当に楽しかった。いい思い出です。

小さな頃から、空には特別な思い入れがありました。
ずっと飛行機にも乗ったことがなく、そこに存在するものとして認識が上手くできませんでした。
見上げては、何者かに描かれた美術作品としか思えなかったんです。

投稿時にも寄せたコメントで、「空を間近に感じたとき、この感覚が消えうせるのではないかという恐怖のような感情もある」と言い、「その暁には是非詩にしたい」と宣言しました。

しかし、詩を書いてから約2ヶ月後、実際に飛行機に乗り、空の中を味わいました。
ものすごく不思議な気分でした。
絵画のような感覚は失せ、目の前に煙の塊のように存在する雲。
初めて見る景色に、とても感動しました。
けれど、見上げれば絵画に見える感覚はしっかりと自分の中にありました。


そして、2回目のフライトで気付いたのが、感覚の境目です。
見上げたときの平べったいような感覚と、飛んでいるときの包まれる感覚。
上空へと向かう途中、自分の中で感覚の切り替えがあるように思えたんです。


そんなことから、黒目のブログタイトルは「境界線」となったのでした。
結局、詩という形で表すことはありませんでしたが、この場で、ずっと閉まっておいたコトが書けた気がします。
くだらない文章を最後まで読んでいただいた方、お付き合いありがとうございました。

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2009/06/23 (Tue) No.7 落下流水


-断片集-
No.7 落下流水

宙に浮かぶ感覚に包まれながらも、重力はしっかりと仕事をこなす。

走馬灯なんて優しいものではなく、嵐のように今までが網膜に焼き付いてくる。

仕方がないという言い訳には、誰もが違うと言うだろう。

それでも、こういう結果になるのは決まっていたことなのだ。

青白い記憶の布を突き破り、下へ、下へ。

手を伸ばしてみると、激しい風に腕ごとなびいて出鱈目に曲がり、自分が人形みたいで可笑しい。

周りに目をやると、初めての角度から世界を認めることが出来た。

彩りに溢れ、実に綺麗ではないか。

少しの間見惚れてしまった。

そうしている間に、時間はもうなくなっている。

伝える言葉は最初からないのだ。悔いはない。

忘れかけていたあの笑顔が、ハッキリと投影される。

そういえば、こんな顔だったな。

綺麗だよ。世界も、君も。

奥に眠るもう一人の自分が、それこそが伝えるべき言葉だったのではないかと問う。

もう、遅いよ。

背筋を伸ばし、体全体で現実を味わう。

別れの挨拶は、空に託そう。

さようなら、自分。

最早自らが発した音も聞き取れなくて、歪んだ笑みをこぼす。

ああ、終わりだね。

拡散する脳細胞。

ほう、自分もこんなに綺麗だとは思わなかった。

その断片に、君の瞳が映りこむ。

それだけで、もう十分だ。

君はあっさりと向こうへと歩き出す。

追いかける気などないよ。

だから、ゆっくり、気をつけて。

涙は互いに隠したまま。

好意はお互い認めぬまま。

そんな関係だけど、いい土産になるよ。ありがとう。






突然浮かんだ漠然としたものを、書きなぐってみました。
今までで一番感覚的に書いた。それ故にこれほど意味不明なものが生まれてしまうとは。
黒目は辞書とか、知恵蔵みたいなものが大好きです。
電子辞書もいいけど、自分が目的とした付近しか目に入らないのが残念。
本だと、ぱらぱらめくってるだけで、面白いものが見つかる。時々だけど。
そんなことしてる間に眠気が攻撃を開始し、今日の勉強時間もそう確保できずにベッドに沈んでゆくのです・・・
無念。

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2009/07/14 (Tue) No.8 Time


-断片集-
No.8 Time

ピピピピピッ。
いつものように、枕元に置かれた時計は、自らの仕事を全うしようと声をあげる。
それをこれまたいつもと同じタイミングで止め、起き上がってくるあなた。
私はいつもあなたより先に起きて、ごく普通の家事に取り掛かっているのだけれど、私自身が起こそうとしても、あなたは起きたことがない。
まあ、私が贈った目覚まし時計のみを頼りにしてくれているというのだから別にいいのだけれど。

あなたは、とても小まめで、繊細で、変な人。
会社へと向かう電車にぎりぎりで乗れるように朝のスケジュールを組んでいるあなた。
毎日数十秒単位というわずかなズレしか生じないあなたの行動には、とてもではないけれど干渉することができない。

けれど、あなたは知っているの?
私がこうして毎日あなたの為に朝食からスーツまで全て準備をしているからこそ、あなたのそのスケジュールが完成へと至っていることに。
その前の晩には、翌朝に備えての家事を私が行っているからこそ、あなたのそのぎりぎりが罷り通っていることに。

こんなこと、絶対に言うことはできない。

こんなことを口走ること自体おかしなことなのだ。

いつからか知らないけれど、女は家の中でそういう働きをする機関なのだと、語り継がれてきたシステムを信じる人がいまだにいるだろうから。

それでも、あなたとの間にはアイがあるから。

だから、私はこうしてあなたに尽くしている。



・・・ある日、大喧嘩をした。
喧嘩の過程で、既になんのことで対立していたかも忘れるほどの大喧嘩。
きっと、不安だったから。
あなたは本当に私をアイしてくれているのか不安でしょうがなかったから。


泣きじゃくり、ヒステリックになる私。

とうとう私の口から、前に考えていた言葉がこぼれてしまった。

私がいないと。私がいないとあなたは生きていられないでしょう?

朝はどうするの?

夜はどうするの?

傍にいるのはあの目覚まし時計だけで、あなたはどう生きていくの?

次々と投げかける私に流石にまいったのか、あなたは謝り、優しく抱きしめてくれた。
でも、私を見るあなたの瞳は、家具のそれを見るような、無機質で渇いた色をしていた。

それからの一年は、とても優しいような生活が続いた。

私が役割を果たし、あなたは私を必要とする。

それこそがアイの全てであり、あなたからのアイの証拠だと私は認識するようにした。

今日もあなたは変わらず、目覚まし時計の音を頼りに目覚める。

けれど、あなたは知っているの?

私は知っている。

本当は、あなたが私を愛していないことを。

せめてもの戒めにと、使い続けているその時計でないと起きられなくなってしまったことを。

そして、その古びた時計は、一日が終わりを告げる頃には、5分のズレが生じるようになってしまったことを。

あなたがぎりぎりの時間に家を出た後、決まって私は時計を調節しにいく。

愛おしそうにネジを回すこの顔は、きっとアイに満ちている。

私と離れたとき、あなたもきっとアイに気付く。

ネジを巻く音が無機質に響く。

カチカチ、カリカリ、カチカチ。

そうしてまた、あなたとの日常が流れていく。

END



これはちょっと前に書いたけど、慣れないジャンルに手を出してかなり納得できないものだったので、ずっとお蔵入りしておりました。
それでも載せたのは、ホントに今更新できるようなものがないので・・・
スランプ?です。とにかく書けない。文章が書けない。

頭の中では沢山浮かぶのに・・・書き出すと急に止まる。汗
今短編を超スローペースで書いてますが、いつになったら載るのか・・・

今回の断片集では、変な愛の形とちょっぴりホラー気味を目指しました。
さあやさんの提案を元に書いたものです。
元々ショートで繋いでこうという計画だったのが、あまりの力量不足で挫折。
悔しいです。いずれかリベンジを。

コメントで少しはエネルギー沸くかもなんでよろしくお願いします。笑
Harmonicsも更新できるようになんとか頑張ります。それでは。

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2009/07/14 (Tue) No.9 鬼籍に登る

短編小説として独立したカテゴリにする必要性を感じなかったので、断片集としてあげておきます。
初期作品。読み返すと、本当に酷い出来である。
ただ、どれだけ駄作でも、作者にとっては愛着のある作品。どれにでもあてはまることだけれど。

-断片集-
No.9 鬼籍に登る

「ウタ…。ウタっ……」
愛しい声がする。
「おーい…ウタ?」
私を呼ぶ、愛しい声。
足音と共に近づいてくる、愛しい人。
やがて私の姿をその瞳で捕え、小さく微笑む。
私はいつもここに居るのだから、探す必要などないのに。
それでも彼は、少しきょろきょろとしながら、いつもこの急な道なき道を登ってくる。
「……ウタ。」
もう一度、優しく私の名前を口にし、優しく笑う。
そして、ゆっくりと私に向けて、大きな手を差し出す。
私も真似て、ゆっくりと、細い手を差し出す。

重なる。
温もりを感じた。

今の私にとっての全て。
やわらかい、温もり。





―――私は幸せだった。
村の中でも、特別な家柄に生まれた私。
小さな頃から、必要以上なくらいの愛情を注がれて育った。
年を五つ数えた頃から、あらゆることを学び始め、その全てにおいて、飛びぬけた才能を披露した。
身体は美しく伸び、声は優しくも気高く、精神も清らかで、穢れなど知らなかった。
私は特に、武芸と着付けに関心を持った。
父と母は武芸が達者で、道場で汗を流す姿をみて、余りの華麗さに声を失った。
村を歩く大人の女性の、幾重にも重ねた着物は、鮮やかで私の心を奪った。


私の年が十五を数える頃には、私の美しさと強さは、村だけでなく、隣の国にまで知れ渡っていた。
いつのまにか、村の人々は、私を「神子」と呼ぶようになった。
私が祈れば、風が音を鳴らしながら吹き、雨を乞えば、雨雲が競い合うように私の上の空に集まってきたし、何より私は、神の名を冠する一族の、百八年ぶりに生まれた長女だった。

十三になった頃、だんだんと婚姻の話題があがり始めた。
村一番の力を持つ私の家。
隣の国で長を務める家の長男までもが、名を捨ててでも、私との婚約を望んだが、私は頑なに拒んだ。
私には、ずっと前に誓い合った人がいたから。
幼なじみの、宗(そう)。
実際は、「そうえもん」と難しい漢字で書くのだけれど、幼かった頃の私にはさっぱりで、ずっと「宗(そう)ちゃん」と呼んできた。
宗ちゃんの方も、私の名前がよくわからなくて、勝手にウタと名づけて呼んでいた。
「宗ちゃん」「ウタ」
お互いそう呼び合って、いつも一緒に遊んだ。
宗ちゃんのお父さんは、とても偉大な封士で、よく妖魔の噂を聞きつけては、隣村までも飛んでいって、あまり会う機会がなかった。
宗ちゃんもそのことでいつも寂しそうで、よく私の隣で泣いていた。
私はそこで優しく頭をなでてあげるのが大好きだったから、宗ちゃんのお父さんが帰ってきてほしいのかどうかはよく分からなかった。
何でもできる私といつも一緒にいた所為で、日陰者だった宗ちゃん。
封士としての素質はそこそこで、それ以外はとても平凡な地味な男の子。
それでも、私が一番欲しかったのは、その平凡さだった。
まだ七つくらいの頃、最近なかったと思ったら、急に私の家まで来て、お父さんが帰って来ないと泣き喚いた宗ちゃん。
このときは、いつもの倍くらいの涙が溢れていて、頭をなでてあげても、なかなか治まらなくて不安になった。
それで、いつもと違うことをして笑わせてやろうと思って、私は庭の虫を捕まえようとした。
そのとき、私はもらったばかりの鮮やかなお気に入りの着物を着ていて、慣れていない格好で急に動いたものだから、見事に転んで着物を汚してしまった。
お気に入りの模様が土色で染められたのを見て、私はこころに大きな衝撃を感じた。
瞬間、私の意思もなにも関係なく、大粒の涙が溢れ出してきて、私は恥など知らずに大声で喚きだしてしまった。
悲しみでいっぱいのはずの心の隅で、私はこの後の酷い状況を思い浮かべていた。
子供二人の泣声が奏でる歪な音。
きっとお父さんが叱りにくるのだ。
少し不安も重なって、さらに大きな声で泣く私。
でも、泣き声は一つだった。
少し不思議に思っていると、頭の上に柔らかい手の感触がやってきて、それは私を慰めるように動いた。
視線を上げると、下唇を噛んで、必死に泣くのを堪えながら、私の髪をわしゃわしゃとなでている宗ちゃんの姿があった。
その姿はとても大きくて。格好良くて。男らしくて。
ずっと面倒を見てあげていると思っていたのに、いつの間にか宗ちゃんがお兄さんになっていた。
「……僕が、そばに…いる…よ」
まだ少し嗚咽の残る声で、宗ちゃんは優しく言ってくれた。
「ずっと…ずっと…そばに……いるから」
もう一度、今度は力強く言ってくれたとき、私は感じた。
私たちはお互いに必要としているのだと。幼い七つの心で。
それから、二人で小指を結んで、「えいえん」を誓った。
結んだのだ。
破られることのない、約束を。―――

手には、まだ優しい温もりが残っていた。
宗ちゃんは帰ってしまった。
此処(ここ)には長くはいられないから。
縛られた空間。
生のない、空間。
さっきまで重ねていた手を頬にあてる。
人の、温もり。
ほとんど忘れてしまったけれど、宗ちゃんのだけは覚えていられる。
それだけで幸せだった。
こうして幸せを感じると、宗ちゃんは幸せなのかどうかと考えてしまう。
私のことなど忘れてしまえば、きっと幸せになれるのだろうに。
私は分かっている。分かっていて、宗ちゃんを求めている。
こころが消えそうになり、泣きたくなった。
けれども、もう流すための涙など、とうに枯れてしまっていた。 
私は目を閉じ、手を手で包み込む。
温もりが消えないように。



―――私は十七になった。
婚姻の話は、もうみんな諦めていた。
宗ちゃんは確実に封士としての実力が上がっていて、村全体で、私と宗ちゃんの仲は認められているようだった。
お父さんは、婚姻を諦めた代わりに、道場を継ぐように言った。
よりいっそう武芸に力を入れた私の強さは、村どころか周辺諸国に敵はいないと称されるようになった。
私はそれでよかった。
毎日大好きな稽古をして、時々自慢の着物を身にまとって宗ちゃんと歩く。
私たち二人は、村民全員の憧れの的だった。

幸せ、だった。

ある日、隣の国で道場を開いているという男が、弟子を何人か連れてやってきた。
どうやら、私の噂を聞いて、女が男より強いなどありえないと考えたらしい。
私のそばにいると誓った日以来、道場にも一緒に通っていた宗ちゃんが、
「僕に任せて」
と、一言だけ残して、男達のもとへ向かった。
なにやら話したあと、相手の男と宗ちゃんが模擬戦をすることになった。
まず自分を倒してからにしろ。とか言ったのだろう。
宗ちゃんは最初、見るからに武芸に秀でているとは思えない体つきだったけれど、誰よりも努力して、今はかなりの腕前になっていた。
二人は、お互いに木刀を持って向かい合う。
相手の男のほうが、頭二つ分も大きい。
誰かが、甲高い声で合図をしたあと、大きな音とともに二人が打ち合う。
相手の男は思ったとおりの、力任せの戦術で、宗ちゃんは隙をみて、反撃を繰り返している。
互角だった。
荒々しさのなかにも、相手の動きをしっかりと捉える目を持つ相手の男。
正直、宗ちゃんもかなり強い方だと思っていたので、驚いていた。
何分か打ち合ったあと、相手の木刀が宗ちゃんの腕を捉えて、宗ちゃんは負けてしまった。
それでも、相手の弟子は動揺している。
自分の師匠と、相手の道場生が互角に戦ったのだから、驚くのは仕方ない。
そんな様子に気付いたのか、相手の男は、大きな声で罵倒し始めた。
この程度なら、噂の女もたかが知れている。とか、こんな道場来る価値もなかった。だとか。
それが、普段のあの男の態度を考えたら、弟子を不安にさせないための虚勢だということは理解できたのに。
私は異様に腹が立った。
私のことより、宗ちゃんが馬鹿にされたことに腹が立った。
互角だったくせに。あんなに努力している宗ちゃんを馬鹿にして…!
私は男の方へ、足を鳴らして進む。
 勝負を、挑んだ。―――



宗ちゃんが、そろそろ来る頃だ。
私は意味もなく、髪を手でとかしたり、着物についた埃を払ったりする。
いまだに、こんなことを気にするのだから不思議だ。
何故か、今日は気分がいい。
幼い頃の夢でも見たからだろうか。
いつもより少しだけ笑顔で、宗ちゃんを待つ。
待つ。宗ちゃんを。
けれど。
待っても。待っても。

……宗ちゃんは、来なかった。


―――木刀を振る。
目の前の男に向かって。
相手は防戦一方だった。
ただ、ただ振る。
このときの私の剣は、初めて穢れていたのだろう。
怒りを源に、力任せに、振る。
そして、相手の男が反撃を食らう覚悟で木刀を振り下ろす。
私は、それをあっさりとかわす。
目の前には、腕。
宗ちゃんにあてたのと同じ場所。
このときの私の剣は、卑しかった。
その腕目がけて、私は初めて「本気」で木刀を振るった。
自分でも驚いた。
こんなにも、疾く振ることができたのだ。
こんなにも、力強く振ることができたのだ。
こんなにも、鋭く振ることができたのだ。
目の前には、相手の苦しそうな顔。
視界の端には、青ざめた顔をした弟子達。
次の瞬間、視界いっぱいに、真っ赤な紅。
鮮やかすぎる、紅。
私は声を失った。
相手の腕が、私の横に転がっていた。―――


涙を流す。
枯れたはずの涙を。
宗ちゃんが来なかった。
此処に閉じ込められて以来、こんなのは初めてだった。
三年間、どんな空の日だって。
三年間、どんな体調の日だって。
三年間、どんな祝い日だって。
朝日が昇って、少しすると、優しい足音を連れてやってきた宗ちゃん。
欠かさず、私に笑顔を向けてくれた宗ちゃん。
……胸が苦しく、痛い。
ねじ切れるくらいの痛さ。
どんな稽古のときだって、こんな痛みはなかったのに。
痛みの種類自体が違うみたいだ。
私の何処かでは、宗ちゃんはこのほうが幸せなのだ。だとか考えているけれど、私のこころはそんな考えを頑なに否定していた。
宗ちゃん。宗ちゃん…。
偶然かもしれない。
明日にはまたあの笑顔でやって来るかもしれない。
でも、そんな考えはすぐに捨てた。
あの約束が破られたのだ。
もう、宗ちゃんは来ない。
涙が溢れる。
ずっと。ずっと。
止め方なんて知らなかった。


―――正直、模擬船の後のことはあまり覚えていない。
お父さんが来て、場の収拾に躍起になっていた。
相手の男は、片腕を失ったショックで、抜け殻のようだった。
そんな中で、はっきりと覚えているのは、相手の男の弟子が、去り際に「この妖魔が」と吐き捨てていった言葉だった。
三つ夜を越えた頃には村だけでなく、周りの国にまでこのことは広まっていて、いつの間にか「神の子」と呼ばれていたはずの私は、「鬼の子」と呼ばれていた。
私が外に出なくても、
「木刀で人が斬れるのかよ…」
「昔から、不思議すぎる力があったし…」
「宗も可愛そうだね、封士なのに鬼の子と…」
聞こえる。私の鼓膜が震えなくても、何処かでそんな会話がされているのが。
悲しくはなかった。
自分は少し人から外れた存在なのはなんとなく分かっていた。
本当の自分に気付いて、みんなが怖がるのは当然だと思った。
それでもこころが痛んだのは、あの試合のあとの日も、毎日私の家まで様子を見に来てくれる宗ちゃんに対してだった。
思えば、あの幼い頃に「えいえん」を誓って以来、一日も宗ちゃんの顔を見ない日は無かった。
何事もなかったように毎日私に笑いかけてくれる。
もう、私にとって宗ちゃんが全てだった。

その数日後だった。
私はお父さんに連れられて近くの山に向かっていた。
私とお父さんは口を聞かなかった。
どこか、他人のような空気さえ流れていた。
頂に近づいてくると、小さな洞穴があるのに気付いた。
そこには、何人かの大人達。
私は、自分がどうなるのかなんとなく理解していた。
お父さんが、洞穴に入るように促す。
大人達は少し怯えているようだったけれど、私はなんの抵抗もせず、表情も変えず、従った。
こころの中では、まだ怯える大人達を嘲笑っていた。
大人の一人が、洞穴の入り口に立つ。
見たことのある顔だった。
愛しい人の面影がちらつく。
宗ちゃんのお父さんだった。
頬に大きなあざが付いていたけれど、すぐに分かった。
いままで、ぼんやりとしか覚えていなかったその顔を、私は一瞬で記憶した。
宗ちゃんのお父さんは、よく分からない文字が蛇のように書かれている札を、入り口に並べている。その間、ずっと無表情だったから、私も無表情でその様子を眺めていた。
札を並べ終えると、先ほどの大人達と共に、なにやら唱え始めた。
とても不快な声だったけれど、私は表情を変えなかった。
大人達のほうに目を向けると、お父さんはもういなくなっていた。
こころが、渇いてく。
もう、どうでもよかった。
私は目を閉じ、不意に襲い掛かった眠気に身をゆだねる。
私は、洞穴に封されたのだ。


目など覚めなくてもよかったのに、朝日の光に起こされてしまった。
なにもない空間。
入り口には、荒い柵がしてあり、戒めのように札が巻きつけてある。
近づいただけで、気分が悪くなりそうだった。
することなど何も無く、自分でこころを空にして、過ぎ行く時間だけを眺めていた。

しばらくすると、足音が聞こえてきた。
見回りにでも来たのだろうか。
足音は一つ。
ゆっくり、ゆっくり、近づいてくる。
私は気にせず、そのまま呆けたままでいた。
しばらくして、足音がいよいよ洞穴の前で止まる。
柵の前に人影。
その人影を見た瞬間、私は空だったこころが、一気に満たされていく気がした。
「宗ちゃん!!」
私は駆け出した。
嫌だった柵など関係なしに。
「宗ちゃん!宗ちゃん!!」
柵に寄りすぎて、腕や膝を打った。
札に触れた所は熱くて焼けているような感じがした。
けれど。そんなこと、どうでもよかった。
愛しい、愛しい人。
涙を瞳いっぱいに溜めて、私は宗ちゃんを呼んだ。
「宗ちゃん…。」
「…ウタ。」
私の名前を、呼んでくれた。
優しい声で。
二人の間には柵があったけれど、私はいつもよりずっとそばに宗ちゃんを感じた。
涙が、溢れる。
「……ウタ、ごめん。止められなかった」
最初、言っている意味が分からなかったけれど、宗ちゃんの顔にできたあざと、昨日の宗ちゃんのお父さんの頬のあざを思い出して、すぐに分かった。
必死に、止めようとしてくれたのだ。
私を守ろうとしてくれたのだ。
愛しさが、涙と一緒に溢れる。
どの感情からくる涙かなんて分からなかった。
今の私は、小さくて弱かった頃の宗ちゃんにそっくりかもしれない。
そんなことを考えていると、宗ちゃんが優しく手で拭ってくれた。
宗ちゃんの手には、札が包帯のように巻いてあった。
「今の僕には、結界の中に、この手を入れるぐらいしか力がないけど…
 約束する。必ずいつか父を越えて、ウタをここから出してあげる。
 もちろん、『そばにいる』約束も守るよ。毎日この時間に此処に来る。絶対に。」
宗ちゃんが私の手を握る。
すごく暖かくて、優しい温もりがあった。
宗ちゃんは、これでいいのだろうか。
幼い頃誓った「えいえん」が、宗ちゃんを縛り付けてしまうのではないか。
そんなことも考えたけど、私にとっての世界は、もう宗ちゃんしか残っていなかった。
私は、握り返した。
約束と共に、愛しい人の手を。―――


泣き疲れた。
宗ちゃんが来なかった。
それは、私の世界が終わったのと同意義だ。
悲しい。とか、苦しい。では表現できない。
終わった世界で、私が生きていける訳が無い。
涙は、まだ止まらない。
「……ウタ。」
急に呼ばれた気がして、驚く。
倒れたままだった体を起こすと、目の前に、宗ちゃんの姿。
なんで?
なんで、この洞穴の中にいるの?
急に宗ちゃんの力が強くなった?
そんな訳ない。
目の前にいるのは宗ちゃんなのだろうか。
「…ウタ。」
もう一度、私を呼ぶ。
抱きつけばいいのに。
なんでいるのかとか、そんなこと考えずに、宗ちゃんの胸に飛び込めばいいのに。
私は、おかしくなっているのだろうか。
宗ちゃんが、ここにいる?
なんで?どうやって?
ずっと、意味もなく思考が回り続ける。
そうか、夢なのか。
約束が破られてショックを受けて、泣いて、疲れて、眠ってしまったのか。
そう考えると、急に目の前の宗ちゃんがぼやけていく。
夢なんでしょ?
頭が割れそうになる。
苦しい。
「…ウタ?」
宗ちゃんの顔に、不安が影を落としている。
そんなことしたって、私の目はごまかせない。
夢なんでしょ?あなたは。
確かめなきゃ。
ほら?よくあるじゃない。
夢かどうか確かめるために、体のどこかをつねったりするあれ。
確かめてあげる。
いつの間にか、私の手にはあの日の木刀。
急におかしくなってきた。
口元がゆるむ。
頭の中で閃光が走った気がして、目が眩んだ。


ゆっくり、目を開ける。
目の前に宗ちゃん。左にも宗ちゃん。右にも宗ちゃん。後ろにも宗ちゃん。
斜め前にも、斜め後ろにも、宗ちゃん、宗ちゃん、宗ちゃん。
そして、私の手に、紅に染まった木刀。
私、幸せ。
宗ちゃんに囲まれて生きている。
胸の奥から、笑いが込みあげてくる。
嗤う。
いままで出したことのない声で。
血に汚れた手を高々と上げて、嗤う。


目が覚める。
体は異常な量の汗をかいていた。
夢。
よかった。あんな恐ろしい光景、もう見たくもない。
ふと、疑問に思う。
どこからが、夢?
私は、自分の手を見る。
温もり。優しさ。苦しみ。悲しみ。
村。道場。屋敷。山道。
大人達。お父さん。
宗ちゃん。ウタ。

そうか。夢。
全部、夢。
さっきまでの感覚が、渇いた音をたてて崩れていく。
目を逸らし、見えなくしていた現実が覆いかぶさってくる。
やがて、私は戻ってきた。
やわらかい夢の中から、この現実へ。

私は、鬼。
洞穴に封され、過ぎ行く時間に身を任せ、永劫を生きる鬼。
それが、私。
感情などとうの昔に捨てたはずなのに、こんな長い夢を見るなんて。
人の夢は儚いと聞くけれど。
鬼の夢はなんて残酷なのだろう。

こころを、空にする。
私は、ここにいる。ずっと、このまま。

「………。」
何か、聞こえた気がした。
私を呼ぶような声が。
「………。」
確かに聞こえた。
耳を澄ませていると、今度は手が伸びてきた。
何処かで見たことがあるその手。
何か巻いているようだけど、よく見えない。

…彼の手だ。
私は思い出す。
さっきまで笑顔を向けてくれていた彼。
でも、あなたは、私の世界の中で生まれた夢に過ぎなかったはず。
手は、必死に私のほうへ伸びてくる。
ただただ、私を目指して。
「……迎えに来たよ。」
はっきりと、聞こえた。
「約束、やっと守れる…。」
あの人の、声。
信じられなかった。
「なんで…あなたは私の夢に出てきただけ…
 また私は、夢を見ているの?」
「違うよ。此処は確かに君が息をしている現実…」
「じゃあどうして?どうしてあなたが此処にいるの?」
混乱する。さっきまでのような絶望の続きなら、もうたくさんだったから。
だけど。
彼は、優しい声で言った。
「約束、しただろう?」
「……っ!」
…胸が張り裂けそうになる。
覚めて消えていった夢の中の、「えいえん」の誓いを守り抜こうというのか。

彼が、愛しい。
捨てたはずの感情が、彩りを取り戻していく。
こんなことがあるなんて。
夢みたいだ。
夢?やっぱり、今の私は夢をみているのだろうか。

ぶんぶんと頭を振って、もう一度その手を見つめなおす。
優しい手。
夢の中で、何度その手を繋いで、何度その温かさに愛しさを覚えただろう。

…今度は考えなかった。
導かれるように、私はその手を掴む。
強く。強く。離さないように。
この手は、きっと私を明るい場所に連れていってくれるから。

夢の中でしか触れられなかった彼の手が、今こうして私の手を包んでいる。

優しい温もりと約束が、そこにはあった。



おわり


読んでくださった方、ありがとうございました。
未分類カテゴリに、あとがきなどありますのでよかったら是非。




09/07/25 追記
ツーヨンさんに、鬼籍に登るの絵を描いていただきましたー!!

素晴らしい!↓

ツーヨン様より 「鬼籍に登る」

正直、予想していたものとは違いました。
まさか、ウタがここまでパワーを持って登場するとは。
絵から感じ取れるものがめちゃくちゃに存在感があるので、あえて読了後に鑑賞するものにしようかと。(勝手ですいません!汗)

ツーヨンさんは、僕の書いた作品を豊かな感性で味わっていただけて、絵という場で表現してくださる、本当に凄いお方です。
こうして描いていただけること、本当に嬉しく思います。
ツーヨンさん、素晴らしい絵をありがとうございました!

これからも頑張って文章を綴っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

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